かつては、名誉毀損の加害者は、情報発信力を持った新聞やテレビのようなマスメディアか、著名人であることが一般的でした。しかし、インターネットが発達し、掲示板やSNSを通して、誰もが不特定多数に向けて情報を発信する力を持つようになり、表現の場の拡大とともに、誰もが名誉毀損の被害者になりうる可能性が生じました。 うっかり不注意な投稿をすると名誉毀損の加害者になってしまうかもしれません。「名誉毀損の要件」「名誉毀損が成立しない場合」等については別記事でも解説していますが、ここでは、意見ないし論評を含む表現と名誉毀損の成否、いわゆる意見論評型の名誉毀損について解説します。 意見ないし論評を含む表現による名誉毀損刑法における名誉毀損罪は、230条により、事実の摘示が要件であり、具体的な事実(証拠等をもってその存否を決することが可能な事項)を示さなければ成立しませんが、民事の名誉毀損は要件が明確に規定さ