正倉院宝物に関する研究成果を論じ合う「正倉院学術シンポジウム」(奈良国立博物館主催、読売新聞社後援)が27日、奈良市の県新公会堂で開かれた。同市の唐招提寺を開いた中国・唐の高僧、鑑真の没後1250年を記念して「鑑真和上と正倉院宝物」をテーマに研究発表と討論が行われ、約200人が参加した。 このうち、美術院国宝修理所(京都市)の木下成通・研究部長は、同寺の鑑真和上坐(ざ)像(国宝)の「お身代わり像」を制作した際の調査で、同像の表面に油が塗られていることが判明したことを紹介。正倉院宝物の伎楽面にも彩色保護のために油を塗った例があり、「今後、仏像の修理でも油を塗布している可能性を考えて調査する必要がある」と指摘した。 西山厚・奈良国立博物館学芸部長は、鑑真は目が不自由だったという定説を、正倉院に残る鑑真の書状から検証。自由な筆跡や余白を認識した書き方などから、弟子の代筆や目が見えない人が書いたと