最近、和綴じ(わとじ)が流行っているという。そういえば、都内の文具ショップでも、よく目にするようになった。 そこで和綴じについて、各地でワークショップを開催している有文堂さんに聞いてみた。 ――そもそも和綴じって何ですか? 「中国で発祥した製本技術が平安時代に日本へ伝わり、独自の発展を遂げたのが和綴じというものです」と有文堂さん。 ――昔はみんな和綴じだったのでしょうか? 「印刷技術が入ってきた江戸時代に、和綴じは最も発展、普及しました。明治になっても、西欧から機械刷りの安価な洋紙がもたらされましたが、学校の教科書などは和綴じのままでした。時代が経つにつれて、綴じるという技術がさまざまなものに取って代わりましたが、今でもお寺の経本や、長唄などの謡本で使われています」 ――有文堂さんはいつ頃に創業されたのですか? 「明治20~30年頃に創業し、120年余になります。美濃に生まれた曽祖父が東京
1 原田信男『神と肉』(平凡社新書,2014年)は,神社祭祀といえば稲作儀礼を中心に考えがちな現代の観念に対し,我が国においても古くは動物の肉を供える祭祀が広く行われてきたことを論じるものであり,その傍証・痕跡として,動物を解体する「屠る(ほふる)」という語が,神を祭る「祝る(はふる)」という語に由来するという説を論証する。確かに,両者が同根であることは喜田貞吉に遡る由緒ある見解であり,結論に積極的に反対する理由もない。 しかし,本書は,その論理の進め方に飛躍があるばかりか,そもそも論拠となる資料を誤読するものである。何より,古字書の読み方,特に「反切」や「韻字」などの基本的な理解もないように思われる。それにもかかわらず,本書の議論に対しては,「用語面からの体系的な検討・整理を行った上で…著者ならではの慎重かつ周到な結論が導き出され重要である」(前城直子)などとする好評価もみられるので*1
Author:くるぶし(読書猿) twitter:@kurubushi_rm カテゴリ別記事一覧 新しい本が出ました。 読書猿『独学大全』ダイヤモンド社 2020/9/29書籍版刊行、電子書籍10/21配信。 ISBN-13 : 978-4478108536 2021/06/02 11刷決定 累計200,000部(紙+電子) 2022/10/26 14刷決定 累計260,000部(紙+電子) 紀伊國屋じんぶん大賞2021 第3位 アンダー29.5人文書大賞2021 新刊部門 第1位 第2の著作です。 2017/11/20刊行、4刷まで来ました。 読書猿 (著) 『問題解決大全』 ISBN:978-4894517806 2017/12/18 電書出ました。 Kindle版・楽天Kobo版・iBooks版 韓国語版 『문제해결 대전』、繁体字版『線性VS環狀思考』も出ています。 こちらは10刷
わすれもの、うせものがたえない毎日を送る忘却散人(飯倉洋一)のブログです。2008年3月スタート。日本近世文学。 軽い読み物として、推敲もなしに書いていますので、学術論文などへの引用はお控えください(どうしてもという場合は、事前にコメント欄にでもご連絡下さい)。エッセイなどでの引用やSNSなどでのリンクはご自由にどうぞ。 鈴木健一さんの『古典注釈入門―歴史と技法』(岩波書店、2014年10月)は、日本文学を学ぶ全ての人にお勧めしたい好著である。想像以上に、わかりやすく、読みやすい。「古典注釈」の概説をこのように平易に書くのは、簡単なことではないと思う。学部や大学院の注釈を旨とする演習の入門編として、是非学生に読ませたい文献である。 中でも、私は第一部「注釈とは何か」が優れていると思う。 古典を読むときに、我々はどこかで違和感を覚える。その違和感を共感へと導くのが注釈の機能だと説く。鈴木さん
8月16日に発売された『pen』(9/1号)の特集は“犬と猫”。パラパラとめくると、かわいいワンニャンのオンパレード! 「おおポチよ、タマよ!」とテンションも上がろうというものだが…ん? 「ポチ」って何でポチでしたっけ? 「タマ」っていつからタマでしたっけー? 『犬たちの明治維新 ポチの誕生』(仁科邦男/草思社)によれば、犬はポチ、猫はタマと相場が決まったのは明治38年頃ではないかとしている。この時、尋常小学校の唱歌に「ポチとタマ」が採用されたのだ。 コノコハ ポチ ト マウシマス。チンチン オアヅケ ミナ ジョーズ。 イマニ、オトナニ ナッタナラ、ゴハンノ バンヲ ヨクシマセウ。 と、猫のタマもこの調子で歌われている。タマは昔から「玉のように美しい」という意味で女猫にはおなじみの名前だったらしい。一方、ポチのほうは……。 「犬は近年西洋の雑種のみになって、日本純粋の種類はきわめて稀になっ
論文とはなにか ■論文とは何か 「論文」とは何でしょう。たとえばレポートとはどう違うのか。 おそらく皆さんは、これまで受けてきた大学の授業で次のように言われたことはなかったでしょうか。 「小学校から高校までは与えられたものを消化すること(覚えること)が勉強だったが、大学での勉強というのは「自分の頭で考える」ことだ」、とか、「問題意識を持つことが重要だ」とか。 でも、「自分の頭で考える」にはどうすればいいのか、あるいは「問題意識」なるものはどうやったら持てるようになるのか、いやそもそも「問題意識」って何? でもまあ、言わせてもらえば、「自分の頭で考える」ための、また「問題意識を持つ」ためのその具体的な道筋を示すことなしに「問題意識を持て」などと繰り返すのは、まあ、単なるお説教にとどまっているわけで。 一言でいれば、「自分の頭で考える方法」、あるいは「問題意識を持つ方法」とは、「問いを立てるこ
quoitworksのムラマツこと、muuuuu.orgの中の人、ムーちゃんです。こんにちは。お盆休みまでもう少しですね!みなさま仕事の進捗はいかがでしょうか。 webのデザインの現場でよくオーダーとしてあるのが、「紙っぽいデザイン」です。 webのデザインはコーディング時のことを考えすぎてしまったり、ユーザビリティや、web独自の視線の流れを意識しすぎてしまうあまりにダイナミックさに欠けたりすることが多いような気がします。 またお客さんとしても生まれてからwebを見ている時間よりも、紙のデザインを見ることが多いので、イメージとして紙(ポスター、雑誌)のような完成図をイメージされることが多いのではないのでしょうか。(特集ページや、LPや、メインビジュアルなどです。検索画面とかは違いますよ!) それで今回はLPやアバウトページ、特集ページでよくある「紙っぽく」オーダーをスマートに解決するため
インプットやアウトプットについて、あらためて考えたいなと思い始めています。 というわけで、梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』を読み返しました。 知的生産の技術 (岩波新書) 作者: 梅棹忠夫 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1969/07/21 メディア: 新書 購入: 34人 クリック: 460回 この商品を含むブログ (302件) を見る 京大式カード この本からは、京大式カードが有名ですね。 コレクト 情報カード B6 京大式 C-602 出版社/メーカー: コレクト メディア: オフィス用品 購入: 6人 クリック: 12回 この商品を含むブログを見る ノートではなく、カードに、1項目1枚で書いていく。情報をカードに書き出す。 こうすると、情報を見える化できて、これらのカードを組み合わせて、発想することなどができるということです。 カードは分類することが重要なのではない。くりか
mnagao @negadaikon 日本史とくに近代史を一番最初のころに自分が発表準備でどのような調べ方をしていたかということと、その間に変わった情報環境も踏まえて、いったい何をどうすれば効率的になるのかということを、今日は考えていた。 mnagao @negadaikon ゼミに加入した当時、お師匠様をはじめ、院生の先輩方の話しぶりと知識量にいつも圧倒されていたのだが、その圧倒のされ方は、今から思えば、次の三パターンに集約されていたように思う。自分が知識が足りないというのは、歴史に登場する人物に対する知識がほとんどすべてだった。 mnagao @negadaikon したがって、自分が焦ったのは1.何故この先輩方はこんなにも色々な人物のことを経歴や思想まで含めて知っているのか。2.何故誰それの伝記、書翰、日記など史料の所在をご存じなのか。そして3.その人については某氏の論文があるはずな
いま中央線。金曜。学芸大の授業が終わり、帰宅途中。 しばらく前、「歴史家と読書――生涯に100冊の本を徹底的に何度も読む」という記事を書いたが、友人と食事しながら、歴史学における研究史の学び方という話になる。研究史については研究史を紹介する文章というものはあって、それは有益ではあるが、しかし、歴史学、とくに前近代史では史料との格闘が第一になるので、ある特別の研究者をえらんで、その人の本・論文をすべて読むというのが一番手早いと思う。そこから関係する研究者を次から次ぎに芋蔓を掘るようにして手繰っていくのである。 これは小説家を一人特定して、その人の小説をすべて読むというのと同じである。「東大教師が新入生にすすめる本」というのをさきほどあげておいたが、そこに「一人の作家のものを、文字どうり断簡零墨を問わずにすべて読むというのは、頭蓋の中に一人の別人格をもつとでもいえるような奇妙な体験で」と書いた
eoblogは 2017年3月31日(金)15:00 をもってサービスを終了いたしました。 長年にわたりご愛顧いただき誠にありがとうございました。
ここ1〜2年の書誌情報と論文PDFファイルの管理法。以前はこちら:私の論文メタデータ管理法。 まとめ 書誌情報管理はMendeleyを利用 PDF管理はDropboxを利用 論文はiPadかPCで読む (1ヶ月前から)論文メモはEvernoteで管理 前提 基本の仕事環境はLaTeX(今はUbuntu) emacsの辞書連携およびスペルチェッカーが非常に便利なのでエディタとしてemacsを使う 論文はLaTeXで書く Windowsも利用 授業で使うスライドや各種事務書類はMS Officeを利用 自宅でネットサーフィンするときはたいていWindows 出張時にはノートPC利用 論文はiPadで読みたい 以上のことからPC3台利用&各PC上にWindows環境とLinux環境がある。そして、iPadも使うというのが私の環境。この環境で論文PDFファイルや書誌情報を使いたい! 論文PDFの管
他人の文章を自分の文章のように扱う研究上の不正は、「剽窃」または「盗用」と呼ぶのが正確であり、不正確で誤解を招く「無断引用」という表現を用いるのはやめるべきである。 「無断引用」という表現はよろしくない 小保方晴子氏が他者の文章を自分の論文に盗用したという事件 [1] があった。この事件の報道において「無断引用」という表現が各所で用いられているが、この表現は正確でなく誤解を招きやすいので、使うのはやめるべきだと思う。「無断引用」の代わりに、「剽窃(ひょうせつ)」か「盗用」と言ってほしいところだ [2] 。 引用という行為は、引用の作法を守っているかぎり、法的にも倫理的にも何ら問題のない行為である。そして、引用は基本的に無断で行われる。わざわざ出典の著者の許可をとらないのである。つまり、無断で行われる引用は全く正常な行為であり、研究上の不正ではない。 研究上の不正になるのは、他人の文章を自分
少し前に学生さんから受けた質問と類似する質問が来るという事案が発生。有名な検索のコツだと思っていたのですが、立て続けにあるということは、周知徹底されていないらしい。 ↓以前に学生さんから受けた質問(例のごとく、実際とは異なる例に変えています)。 「古い時代の名前の付け方を調べているのですけど、たとえば、清盛みたいに『平ナントカ盛』という、『盛』が最後につく名前を集めたいのですけど、どうすればいいですか」 「系図を見るのが手っ取り早いと思うけど、とりあえずググってみた?」 「してみましたけど、うまくいかなくて・・・」 うまくいかないという理由がよくわからなかったので、検索してもらったら、検索窓に「平 盛」と入力していました。これでは目的の調べ物は難しいでしょう。 (「平 盛」の検索結果) このように、前後の字が決まっていて、その間に不特定の字が入るかたちの語句を検索したい場合は、" " で囲
「専門家をダメにする方法」 があるのをご存じですか? それを繰り返していると、どんな専門家でも、だんだんと「色褪」せて、声色に艶を失っていき、いわゆる「オワコン」化(終わったコンテンツ)していく、まことに恐ろしい「黒魔術」のような方法!?です。しかも、「黒魔術」なのに、その方法は、とても「シンプル」なのです。 まぁ、そんなもの、知っていても、知らなくても、「どうでもいいこと」のように思いますし、知っていても「一銭の得」にもなりませんし、未来永劫、テストに出たり、昇進に関連することはないですが(笑)、もし、万が一、そのような方法が、仮にあるのだとして、あなたは、どんな「方法」を思いつきますか? ・ ・ ・ 個人的に、僕がひとつ「確実な方法」だな、と思っていることは、これです。僕は、いわゆる文系の人間なので、そっち方面の専門家を何となくオボロゲに思い浮かべて、以下のことを書きます(いわゆる理
あることを調べようと図書館にやって来た人の多くは、そのテーマを扱った書物を探そうとする。 そして、そうした本を見つけられなければ探しものは失敗したと思う。 では、そのテーマについての書物を所蔵しない図書館はもう何もできないのか? 否、否、三たび否。 あなたが知りたいことに一冊をささげた書物はなくても、図書館にはまだできることがある。 (関連記事) ・ビギナーのための図書館サバイバル・ガイド、他ではあまり書いてないけど大切なこと 読書猿Classic: between / beyond readers ・ネットでは逢えない書物に会いに行くー新入生におくるリアルワールドでの本の探し方 読書猿Classic: between / beyond readers ・辞書を引くこと、図書館を使うことは「読み書き」の一部である 読書猿Classic: between / beyond readers 一
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