日本に正しい仏の教えを授けるために命を懸けて、鑑真和上(がんじんわじょう)が唐から来日したのは753年12月のこと。東大寺大仏殿にて聖武上皇・孝謙天皇らに正式な受戒を行い、日本の仏教の基礎を作り上げた。その鑑真和上によって創建された唐招提寺は、建築物も仏像も天平時代からの一級品を数多く揃えているだけでなく、その清く正しい不屈の精神をも今の時代に伝え続けているお寺といえる。 この唐招提寺は南大門から一歩境内に踏み入れると、ものすごく空気が優しい。正直これは文字で表すことはできないので、現地に来て頂かないと分からないのだが、とにかく癒される。金堂はこのお寺の本堂であり、天平時代の金堂建築として唯一現存する貴重な建物である。寄棟造、本瓦葺きで、左右に鴟尾(しび)を飾る。円柱の中ほどに膨らみをもつエンタシス式の柱が並ぶ姿は雄大で温もりがある。 解放された扉の奥には、御本尊の毘盧遮那(びるしゃな)仏