文化庁は、国宝や重要文化財に指定されている美術品や工芸品について、「年間延べ60日以内」としている公開制限を来春にも緩和する方針を固めた。湿気や紫外線などによる劣化を避けるための規制だが、刀剣などの金属製品、石造りの仏像や土器など頑丈なものは、長期公開にも耐えうると判断した。 安倍政権は観光立国を掲げ、2020年までに15年の2倍にあたる4千万人の外国人旅行者の訪日を目標とし、文化財も観光資源として重視している。文化庁は5月、文化財を活用しやすくするための制度改正を検討する専門部会を、文化審議会に設置。公開制限の緩和はその一つで、23日の会合でまとめる中間報告に盛り込まれる見通しだ。 国宝・重文は、1996年の文化庁長官による裁定で、博物館や美術館で公開する際、年間に「2回以内」「延べ60日以内」に制限されている。全国を巡回する展覧会などでは公開日数が短すぎるとして、展覧会の主催者や美術館