9月中に予定される検査は金融庁が単独で実施する。農水省が天下り先である農林中金の金融検査に加わることには、民主党が以前から問題視しており、農水省の“自粛”は新政権誕生への配慮とみられる。 農協の中央機関である農林中金に対しては、これまで、農水省と金融庁が1年半〜2年に1回のペースで共同検査を行っている。今回の見送り方針について、農水省は「金融庁とは別に行う」と説明するが、同省の検査の日程は「何も決まっていない」という。 農林中金のトップは、現在の河野良雄理事長が初の生え抜きで、前理事長まで歴代11人の理事長はすべて農水省の大物次官OBが就任した。農水省は理事などの幹部職についても天下りポストを持ち、農林中金も農水省へ出向者を送り込んでいる。 こうした実態を受け、民主党は「共同検査では十分に監督できない懸念がある。金融庁が単独で検査すべきだ」と指摘していた。