中国漁船衝突事件の「ビデオ」流出と、それを告白した海上保安官の逮捕見送りを巡って、議論が続いている。「情報クーデター」などという物騒な言葉も飛び出した。だが、ちょっと冷静に考えたい。問題の根っこは何なのか? 識者に聞いた。【鈴木琢磨、中澤雄大】 ◇獅子の力、認識欠いた--前衆院議長・河野洋平さん 「尖閣ビデオ」の映像を流出させた海上保安官をヒーロー視するのは問題がある。せめて辞表を出してからというのが国家公務員としての最低限度のモラル。これでは国家の秩序が維持できなくなる。むろん映像の管理体制をあやふやにしていた海上保安庁のトップの責任は大きい。 だが、そもそも日本にとって隣国・中国との関係がいかに重要かつセンシティブなものか、その認識が菅直人政権に欠けているのではないか。「眠れる獅子」はとっくに目覚め、これからますます存在感を増していく。戦後、国交回復を訴え続けた松村謙三さんはじめ、かつ