北朝鮮が日本人拉致問題に前向きな動きを見せない中、拉致被害者家族会の一部には安倍晋三首相への不満も漏れる。首相が3日、家族会と面会したのは、官邸と家族会との亀裂が生じることを避けるためでもあった。国内の足並みの乱れは北朝鮮の思うつぼになりかねない。 北朝鮮は2日、日朝交渉中断の意向を日本側に通知してきた。家族会の不安をあおり、首相側との分断を狙う宣伝工作であることは明白だった。 首相は3日、家族会のメンバーを前に「一刻の猶予も許さないとの思いで交渉にあたっていく」と強調、「それぞれの思いを伝えていただきたい」と呼びかけた。 家族会の一人は3月上旬、自民党中堅議員に電話し、「官邸前で座り込みをしようと思います」と述べ、日朝交渉の成果がないとして官邸前で座り込みのデモを計画していることを伝えた。中堅議員の説得によりデモは見送られたが、中堅議員は「家族会の一部が抱える政府への不満は限界に来ている