北朝鮮に高級外車3台を不正に輸出したとして、関税法違反などの罪に問われた朝鮮籍で元会社役員の男性被告(71)の論告求刑公判が2日、東京地裁で開かれた。被告は警視庁公安部の捜査で、不正輸出にとどまらず政治工作や外貨獲得活動などを行う「工作員」である疑いが浮上している“いわくつき”の人物。この日、犯行について「違法と分からなかった」と強弁する被告にガブリとかみついたのは、法壇の中心に座り審理を見守るはずの、裁判官だった。(時吉達也) 起訴状と検察側の冒頭陳述によると、被告は平成20年9月と12月、経済産業省の許可なしに、中古の高級外車3台(計720万円)を北朝鮮に輸出したなどとされる。日本では18年11月以降、国連安保理決議に基づく経済制裁で、乗用車を含む北朝鮮への「ぜいたく品」の輸出が禁止されており、被告は外車の仕向地を韓国内の「仁川」などと記載。韓国経由で、北朝鮮の「インド大使館」あてに車