北朝鮮による拉致の可能性を排除できない特定失踪者家族らによる署名活動が3月28日、東京都台東区で行われた。昨年7月に始まった拉致被害者らの再調査では、特定失踪者も調査対象に含まれ、家族たちはこれまでにない期待を抱いた。だが現在まで何の進展もなく、家族からは北朝鮮への怒りとともに、政府の対応に疑問の声も上がる。それでも頼れる存在は政府しかなく、特定失踪者家族のジレンマは高まっている。 「何人か帰ってくる」と期待したが… 署名が行われたのは、花見シーズンを迎え、大勢の人でにぎわう上野公園近く。この日集まった特定失踪者6人の家族らはハンドマイクを手に、署名への協力を呼び掛けた。 昭和51年2月、埼玉県川口市の自宅を出たまま行方不明となった藤田進さん(58)=失踪当時(19)=の弟、隆司さん(57)は「いまだに帰ってきた拉致被害者はたったの5人です。それも12年前のことで、あれから全く進んでいない