南シナ海での中国の領有権を否定した12日の仲裁裁定で、裁判所が示した国際法上の「島」の解釈が、専門家に「隠れた焦点」として注目されている。裁定では、排他的経済水域(EEZ)などを設定できる島と認められる要件を厳しく解釈しており、沖ノ鳥島などの法的地位に影響を及ぼす可能性もあるためだ。 仲裁裁判の裁定は、南シナ海の岩礁が、EEZや大陸棚を設定できる島ではなく、そうした経済権益を生じさせない「岩」や「低潮高地」だと判断した。裁判所はその際、「海の憲法」と称される国連海洋法条約で、島について規定した121条に解釈を加えた。 同条約の121条をめぐっては、「これまで国際裁判で詳細な解釈が示されてこなかった」(国際法学者)といわれる。 だが、今回の裁定は、条文に沿って詳細に検討。「新しい判断が示された」と指摘する東北大の西本健太郎准教授によると、裁定は、島で人間集団が安定した共同体(コミュニティー)