【ソウル=名村隆寛】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領をめぐる機密資料の漏洩(ろうえい)疑惑は、事件のカギを握る朴氏の友人、崔順実(チェ・スンシル)氏が電撃的に帰国したことで、新たな展開を迎えた。民間の実業家である崔氏がなぜ、朴政権の影の権力者と呼ばれるようになったのか。 大統領の演説内容の手直し。人事や外交への関与。政府がからむ財団の私物化や資金の不正流用。さらに、娘を名門・梨花女子大学に不正入学させた疑いなど、崔氏がからんだとされる数々の疑惑は韓国で連日、大きく報じられている。いずれも大統領と近い関係にあることを利用したと見られているからだ。 崔氏と朴氏の関係は1974年に朴氏の母、陸英修(ユク・ヨンス)氏が銃撃を受け、暗殺されたころ始まったといわれる。崔氏の父、崔太敏(チェ・テミン)牧師は朴氏の父、朴正煕(チョンヒ)元大統領と事業などを介して近かった。母親の死という失意のなか、朴元大統