今年の秋口のことです。日韓両国の要人が集まるフォーラムでスピーチを頼まれました。そこで私は「かつて韓国でインフラを整備したり、教育体制を整えたりする日本人がいたからといって、併合時代を正当化してはならない」と話そうと考えていました。 しかし主催者側にそれを伝えると、「たとえ『併合時代を正当化してはいけない』という趣旨でも、途中で怒って席を立つ方もいるかもしれないので、止めてください」と言われました。韓国にとって植民地時代はデリケートな問題なのだと改めて感じた瞬間でした。 本書には発売当初から興味がありました。韓国内で若者を中心に読まれる一方、曺国前法相が「吐き気がする」と述べたように、賛否両論が巻き起こっていることは知っていた。また著者の李栄薫氏が同様の主張をした際、迫害を受けたことも聞いていました。 韓国版(左)日本版は文藝春秋刊(右) その上で、通読して感じたのは、単なる反韓・嫌韓本で