檀家(だんか)の減少や新型コロナウイルスの感染拡大などで、寺の苦境が続いている。そんな中、生き残りをかけ、オペラ指導や地ビール醸造、カフェ運営など、新しいスタイルで人を呼び込み、地域に働きかけようとする動きが目立つ。各地のさまざまな取り組みを紹介する。 お寺でオペラを寺の本堂に張りのあるテノールが響き渡る。イタリアの有名な楽曲「フニクリ・フニクラ」。取材のため特別に披露してもらった歌声は、圧倒的で透明感にあふれていた。 福島県喜多方市にある長泉寺の住職、油谷充恩(ゆたに・しゅおん)さん(50)は音大で声楽を学び、留学先のイタリアでオペラ出演も果たした。今は住職の傍ら、地元でオペラ歌手や合唱指導などもこなす。将来は寺でオペラ鑑賞会などを開き、地域活性化につなげたい考えだ。 オペラ歌手で住職の油谷充恩さん。文化的なイベントで寺を人が集まる場にしたいと考えている=福島県喜多方市の長泉寺(芹沢伸生