日本の伝統芸能の殿堂ともいうべき国立劇場が昨年10月末に閉場してから半年余がたちました。2029年再開をめざして建て替える計画でしたが、2度の入札が不調に終わったまま、再開の見通しがまったく立っていません。空白期間の長期化が必至という異例の事態に、関係者から強い危惧の声が上がっています。 ■文化の継承に危惧 国立劇場は歌舞伎や文楽、邦楽、舞踊などさまざまな伝統芸能の公演を行ってきました。また、1966年の開場当初から、歌舞伎などで全幕上演する「通し狂言」や、埋もれた作品をよみがえらせる「復活狂言」を実施してきました。これらは民間では難しく国立劇場ならではの役割でした。 さらに、実演家やスタッフなどの後継者養成、調査や資料収集機能も担ってきました。国立劇場の空白期間が長引くことは、伝統芸能、伝統文化の存続に大きな危機をもたらします。ナショナルシアターが何年も閉じたままというのは、世界的に見て