それは、明らかにつじつまの合わない記録でした。遺体を解剖されることを本人が承諾したのは「死んだあと」だったというのです。 過去に繰り返されてきた、ハンセン病患者の遺体の解剖。その承諾を得たとされる文書がねつ造されていた可能性が、ある療養所の調査で見えてきました。 (松山放送局記者 清水瑶平/岡山放送局記者 入江和祈) ハンセン病は「らい菌」によって皮膚や神経が冒される感染症です。 治療法がなかった時代には「不治の病」として恐れられ、国はかつて、患者たちを療養所に強制的に収容するという、誤った隔離政策を取り続けていました。 そして各地の療養所では「治療や医学の発展に役立てるため」などとして、亡くなった患者たちの解剖が行われていたことがわかっています。