御嶽(おんたけ)山の噴火に遭遇した登山者が、「亡くなった人に申し訳ない」といった、罪悪感に苦しむケースが出始めている。 放置すれば心的外傷後ストレス障害(PTSD)など深刻な事態に発展する恐れもあり、専門家は、継続的なケアの必要性を指摘する。ただ、人気観光地で起きた噴火災害では登山者の居住地が全国に広がっており、精神的な「孤立」をどう防ぐのか、課題が横たわっている。 ◆「なぜ」 なぜあの日、あの時、噴火が起き、なぜ自分は助かったのか――。愛知県小牧市の女性(30)は御嶽山から下山以来、いくつもの「なぜ」が頭から離れない。 9月27日、9合目付近で噴火に遭った。黒い噴煙の中、息苦しさと熱風に耐え、視界が開けるのを待って下山。「すごい経験したな」。当初は笑って無事を喜べた。だが帰宅後、異変が起きた。 噴火の映像を目にし、多数の死者が出たと知った。「10分違っていたら私も……」。吐き気に襲われ、