戦国時代を中心に活躍し、小説や映画、アニメにも登場して世界的に知られるようになった「忍者」。一子相伝とされる忍術を受け継いだ、おそらく現代に生きる最後の忍者が、甲賀流伴党21代目宗家、川上仁一さん(65)だ。手裏剣を使うなどして敵を倒すイメージの強い忍者だが、実際は極秘に情報を収集して持ち帰る専門職だった。しかし川上さんは「現代において伝統的忍術をやる意味はない」と断言し、次代への伝承も考えていないという。忍術はなぜ、廃れてしまったのか。(加納裕子) 呼吸法、断食・断水、土を食べたことも… 川上さんは昭和24年、福井県若狭町生まれ。父は会社勤めをしながら農業に従事、母も農業を手伝っており、忍者ではない。 川上さんは6歳ごろ、家の近くで先代に出合った。子供の目に映った先代は、修行僧のような格好をしたおじいちゃん。だが川上さんの前で、地面にすいすいと絵を描いたり、手にした物を素早く投げる。すっ