修正された点を見ると、実教出版がかなり抵抗していることがわかるが、いずれにせよすべて、「集団自決」を強いた、あるいは追いやったものとしての“日本軍”が削除されていることがわかる。その結果、なぜ、なにによって追い込まれたのかがわからない表現になっている。読み方によっては、米軍が迫ってきたので追いつめられた、だから住民が自ら自決したのだという解釈もなりたちうるだろう。日本軍の加害性を削除させ、日本軍への否定的なイメージをなくすこと、そのための突破口として「集団自決」がねらわれた印象を受ける。「集団自決『軍の強制』削除」(東京新聞.2007.3.31)、「『集団自決』軍関与を否定」(沖縄タイムス.2007.3.31)という新聞の見出しは、検定の特徴を端的に表わしている。 こうした検定意見をつけたことについて、文科省は、「軍の強制は現代史の通説になっているが、当時の指揮官が民事訴訟で命令を否定する