文藝賞・松田いりのさん 会社員11年目、先の見える退屈が「ハイパーたいくつ」を書いて吹き飛んだ。 「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」＃21｜好書好日

文藝賞・松田いりのさん 会社員11年目、先の見える退屈が「ハイパーたいくつ」を書いて吹き飛んだ。 「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」＃21 松田いりのさん＝撮影・武藤奈緒美 第61回文藝賞 受賞作「ハイパーたいくつ」 演劇や映像を制作する会社の財務に携わる「私」は、取引先に本来の1000倍の金額を支払う大失態を犯し、職場で針の筵に。私生活では高額な衣服を買い漁り、クレカ借金が止まらない。しかし、全てのしりぬぐいをし、やつれ果てたチームリーダーはなぜか「私」を責めることなく、62万円のジャケット姿がペンギンに似てるからと「ペンペン」と呼び、可愛がる。鬱屈、窮屈、退屈な現実が崩壊し、ついに「私」ははみ出していく――。 この先、面白いことは起こらない いつも執筆に使うという喫茶店「むさしの森珈琲」に現れた松田さんは、ハイファッションに身を包み、個性的な髪型に強いまなざし。いかにも自