社説：国家安全条例の施行 香港の価値損なう「中国化」 | 毎日新聞

自由で開かれた国際都市としての価値が、強権統治によって損なわれることを憂慮する。 香港でスパイ活動や外国勢力の干渉などを取り締まる国家安全条例が施行された。国家への反逆や国家機密の窃取といった犯罪を規定している。最高刑は終身刑だ。 香港政府は、2020年に中国主導で施行された香港国家安全維持法（国安法）を補完する条例だと説明する。条例施行により香港における社会統制の「中国化」が総仕上げの段階に入る。 問題は、犯罪と規定する行為が幅広く、国家機密や干渉などの定義もあいまいなことだ。政治だけでなく経済や社会問題に関する報道でも、機密に触れると当局が判断すれば摘発の対象にできる。 香港記者協会の調査では、メディア関係者の9割が報道の自由に悪影響があると答えた。中国本土や香港の人権問題を精力的に報じてきた米政府系放送局のラジオ自由アジア（RFA）は、「安全に活動する上で深刻な疑問が生じた」として香