(フィナンシャル・タイムズ 2014年2月9日初出 翻訳gooニュース) 日本の公共放送を抑圧しようとするのは嘆かわしい。 アベノミクスの原動力のほとんどは中国からきている。日本経済を復活させようという大胆な作戦は、力をつけて台頭する中国への警戒心があればこそのものだ。 積極的に自己主張する新興中国を恐れるからこそ自民党は、声高に愛国的な安倍晋三氏に頼ったのだし、中国台頭を恐れるからこそ多くの日本人は鼻を抑えながらでも 安倍氏に投票したのだ。中国について同じように危機感を抱くからこそ、安倍氏自身も、15年にわたる日本の不況をなんとかして、自国利益を守ることのできる豊かな国を作らなくてはならないと確信するに至ったのだ。安倍氏は、戦争中の残虐行為について日本だけが不当に特別扱いされ批判されていると考える歴史修正主義者だ。それでも安倍氏は最初のうちは、経済改革案を立ち上げて軌道に載せるまでは、
(フィナンシャル・タイムズ 2014年1月22日初出 翻訳gooニュース) ギデオン・ラックマン 世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で筆者はつい先ほど、日本の安倍晋三首相と各国記者団の質疑応答を司会したばかりだ。私は首相に、中国と日本の間の戦争勃発は「考えられるか」質問してみた。 答えた安倍首相は、そのような紛争は論外だとあえて明言しなかったのが興味深い。首相は実際に今の日中の緊張関係を、第1次世界大戦に至る数年間の英独のライバル関係と比較し、「同じような状況だ」と述べたのだ。 今の中国と日本と同じように当時のイギリスとドイツの間にも、強力な貿易関係があった、だからこそこの比較が成り立つのだ――。首相はそう説明した。最大の貿易相手国であっても戦略的な緊張が紛争勃発に至るのを、1914年の場合は防げなかったのだと。 当然ながら安倍氏は、「偶発的な衝突」による紛争発生はとんで
(フィナンシャル・タイムズ 2014年1月23日初出 翻訳gooニュース) 日本政府と中国政府は、手遅れになる前に挑発的な発言を鎮めなくてはならない。 中国と日本が東シナ海で戦争に突入する可能性が、世界がいま直面する最大の安全保障上の危機として急浮上しつつある。残念ながら、中国と日本の両政府による言動は、紛争の可能性をやわらげることに何ら貢献していない。 衝突の焦点となるのは、日本が尖閣諸島と呼び中国が釣魚島と呼び、そして両国が領有権を争っている島々だ。諸島を実効支配しているのは日本だが、中国も領有権を日に日に強硬に主張し続けている。昨年11月には中国政府が、諸島上空をも含む「防空識別圏」の設定を宣言し、日本政府の怒りを買った。両国間ではそれから批判合戦が続き、日本の安倍晋三首相が靖国神社を参拝して火に油を注いだ。靖国神社には戦争犯罪で有罪となった14人も合祀されており、中国人の憎悪の対象
参院選の直前にゲストスピーカーの1人として参加する予定だった催しが中止になった。選挙権のない高校生と大学生を集めて、模擬投票と意見交換をしようというイベントだった。 企画の一部にマニフェスト評価のネット中継というのがあり、これが未成年者の選挙活動にあたらないかを総務省に確認したところ、答えが「まだ凡例もなく法にゆだねる」で、危険性を排除できないので断念したという。 高校生、大学生とじかに話せると楽しみにしていたのでなんとも残念だったが、少しほっとした部分もある。「なぜ投票しないといけないんですか?」と質問されたらどう答えようかと、ドキドキしていたからだ。 なぜ投票すべきなのか。教科書的な答えはいくらでもできるが、そもそも大人でさえ納得できていないから投票率は上がったり下がったりするのだろう。昨年末の衆院選は史上最低の投票率だったし、今回の参院選も野党が弱体化した状況が過去最低の投票率だった
(フィナンシャル・タイムズ 2012年2月10日初出 翻訳gooニュース) ソウル=クリスチャン・オリバー 『デビッド・レターマンのレイト・ショウ』のフィナーレ出演といえば、米テレビ界でこれほど大きなチャンスはない。人気のポップスグループ「少女時代」が『レイト・ショウ』出演を果たしたのを機に、韓国のエンタテインメント業界はアジアを飛び出して欧米での成功を目指していると、大きく意思表示したことになる。 ヒット曲「The Boys」をひっさげて米ネットワークテレビに初登場した美女9人のグループは、次にフランスに移動し、ゴールデンタイムのテレビで歌を披露した(2011年にフランスで開いたコンサートのチケットは15分で売り切れている)。 韓国の映画やテレビドラマ、そして「K-POP」アイドル(その多くは日本の甘ったるい「J-POP」を参考にしている)はここ10年の間にアジアを席巻した。その「韓流」
(フィナンシャル・タイムズ 2012年2月9日初出 翻訳gooニュース) 東京=ベン・マクラナハン 日本企業はあまりに長いこと受け身でい続けたと、経済産業省の堀口晋氏は言う。「もっと積極的に競争していかないと」。 この発言の内容よりも、それを言ったのが経産省経済産業政策局産業再生課の人だということの方が驚きだ。経産省は決して、大胆さで名高いところとは言い難いからだ。 もっと積極的にと呼びかける堀口氏と同様に、日本では閣僚をはじめとする大勢が日本産業の再活性化を訴える。そして日本産業の再活性化は、政治課題として重要性を増している。 そのための中心的な役割を担っているのが「産業革新機構」だ。経産省が3年前に設立したこの株式会社は、既存や新規のビジネスにこれまでに約3550億円をつぎ込んできた。 同機構は今、大きな取引をもう一つまとめようとしている。韓国や台湾のライバル相手にもっと有利に競争し
英語メディアが伝える「JAPAN」なニュースをご紹介するこのコラム、今週は日本の食べ物の安全性についてです。放射能汚染のリスクについて、私が信頼する2人の特派員が、かなり異なる視点から書いていました。対照的な記事が2つ揃って初めて全体の輪郭が整ったと言えるもので、それが放射能リスクを考える際の難しさを改めて示していました。(gooニュース 加藤祐子) ○ 安全なのに……という憤りと 今年1月になって、私がよく読む2つの英語新聞に、福島県の農産物について対照的な記事が載りました。実は安全なのに危険性を強調する声が大きすぎて信じてもらえないという切り口の記事と、安全だと言われているが到底信じられないという切り口の記事です。英紙『フィナンシャル・タイムズ』と米紙『ニューヨーク・タイムズ』の、しかも日本に詳しくバランスがとれていると信頼してきた東京特派員2人の記事なだけに、その対比がこの問題の難し
英語メディアが伝える「JAPAN」をご紹介するこのコラム、今週はオリンパスのマイケル・ウッドフォード元社長の来日についてです。来日というか帰還というか、あるいは凱旋というかは人それぞれでしょうが。記者会見の映像を観ながら、戦わなくてもよかったのに敢えて戦った男が「地獄をくぐり抜けて」なお、未だに戦い続けている姿だなと思いました。そしてその横にはウッドフォード氏とはまた別の、新聞記者としての戦いに勝った男の姿もありました。(gooニュース 加藤祐子) ○ 6週間前となんたる違い オリンパスのウッドフォード元社長が10月14日に解任され、日本を追い出されるように発ってから1カ月余。11月24日に日本を再び訪れ、捜査当局とやりとりし、複数メディアの取材を受け、25日には東京・有楽町にある日本外国特派員協会で記者会見をしました。 「What a difference a day made」というス
(フィナンシャル・タイムズ 2011年11月11日初出 翻訳gooニュース) ミュア・ディッキー、クライヴ・クックソン 日本の飯舘村では、町役場の前に放射線量の表示器がある。警告灯のついた大きな金属製の箱は、その時々の空中線量をデジタル表示する。この土地で林業を営むアンザイ・トオルさんが持ち歩く線量計は、もっと身近な線量を表示する。近くの県庁所在地では、ゲルマニウムを使う高度な検出器が夜通し、地元産の食品の放射線量を分析している。 福島第一原子力発電所が津波によってメルトダウンしかけてから8カ月、過去25年間で世界最悪の原発危機によって放射能汚染がどれだけ広がったのか、日本中からデータが寄せられている。しかしどの線量計もデータも、私たちが実際にどれだけ心配したらいいのかは教えてくれない。放射能リスクについては、科学者の間にも社会全般にも合意が成立していない。そのことが原発事故で露呈されてし
(フィナンシャル・タイムズ 2011年11月11日初出 翻訳gooニュース) ジョン・ギャッパー オリンパスでのあれこれは3週間前の時点では、実に不可解だった。同社の英国人社長、マイケル・ウッドフォード氏は解任されるや、かなり異様な取引内容の詳細を公表。何かがひどく変だったが、オリンパスがなぜ零細企業3社の買収と法外な顧問料に計14億ドルも無駄遣いしたのか、なかなか理解しにくかった。 今週に入ってことの次第が、前より明らかになった。と同時に、事態は不穏な色を帯びてきた。高山修一新社長は都内の記者会見で、正式な謝罪として2度、頭を下げた。そして、1990年代にさかのぼる投資上の損失を隠す為に取締役会が20年にわたってどう画策してきたか、明らかにした。同社は買収取引を使って損失を償却していたのだ。 カメラ・医療機器メーカーのオリンパスでは、前会長の菊川剛氏を筆頭に3人の取締役・監査役が問題の責
(フィナンシャル・タイムズ 2011年11月8日初出 gooニュース) オリンパスの高山修一社長は11日前、株主と世界のマスコミに対して、疑わしい手数料や買収に10億ドル以上を払ったけれども、特に問題はないことだと告げていた。しかし勤続41年の生え抜き社長は今回、実はその支払いは20年前にしくじった、とある証券投資の損失をごまかすためのものだと認めるに至った。 社長の説明はそこで始まり、そこで終わった。内容が言明されない投資とはなんだったのか? 誰が承認したのか? 報告するまでになぜこんなに長くかかったのか? そして、取得するや否や減損処理するような買収がどうして、投資損失隠しになるのか? 高山氏の説明は曖昧にぼやけて、説明になっていない。オリンパスのカメラがこんなにボンヤリした写真しか撮れないのなら、同社はとっくの昔に倒産しているはずだ。 それでも、オリンパス問題の真相がはっきりしないお
(フィナンシャル・タイムズ 2011年10月30日初出 翻訳gooニュース) ミュア・ディッキー東京支局長 [訳注・記事中の野田首相の発言は、英語から日本語に翻訳したものです] 日本の野田佳彦首相は確かに、有言実行の人だ。 野田氏はただでさえ保有資産が1774万円と歴代首相として最も少なく、就任時に一番貧乏な総理大臣だったのだが、支出削減の手腕を評判通りに発揮し、公務員給与の削減に支持を取り付けるため、まずは自らの給与3割カットを打ち出したのだ。 これは、財政健全化への回帰を重視する野田氏の決意のほどを浮き彫りにするものと言える。5年間で6人目となる日本の首相に先月就任するまで財務相だった野田氏にとって、日本の財政安定化は最優先課題なのだ。 しかし、世界第3位の経済大国が直面する諸問題について歩を進めるには、首相のこうしたアピールだけでは足りない。それは最近の政権トップ交代からしても明らか
(フィナンシャル・タイムズ 2011年10月25日初出 翻訳gooニュース) ミュア・ディッキー東京支局長 罵倒と非難の羅列が続く珍しい文書が、光学機器メーカーのオリンパスで社員に配られた。同社の菊川剛会長(訳注・26日に取締役へ降格)は25日、解任した英国人の社長兼CEOについて、何でも自分の思い通りにならないと気がすまない我の強い人間だなどと、あれこれ非難したのだ。10月14日にオリンパスに解任されたマイケル・ウッドフォード氏は欧州事業のトップだった当時、文房具備品の購買についてさえ自分が直接管理したがったと菊川氏は書いた。 自分が了解していない出費についてはたとえ1円でも気になったようだと、菊川会長はウッドフォード氏について書いた。細かいことに気を配るのは良いが、オリンパスは売上高8000億円規模の企業なのだと。この長い文章はオリンパスの社内サイトに掲載されたものだ。 しかしウッドフ
英語メディアが伝える「JAPAN」なニュースをご紹介するこのコラム、今週は、日本企業の疑惑について英語新聞を読まないと詳しく分からないのは困ります——という話についてです。こういうことが続くと、英語読者が抱く「日本」のイメージと、日本国内の日本人が思う「日本」のイメージがずずずっと乖離していってしまう。そして(一部だと思いたい)外国人が日本企業や日本メディアに対して抱く悪いイメージが、「そらみたことか」と補強されてしまう。非常によろしくありません。はい、オリンパスについての話です。(gooニュース 加藤祐子) ○「文化の壁」が出たら疑え 前置きですが、私は3月11日からこちら何かというと「いやいや、日本の主要メディアがそれをどこも書いてないというのは、誤解ですから」と弁明してきた気がします。別に主要メディアの関係者じゃないのに。自分はもう新聞記者じゃないのに。「日本メディアはどこも東電に広
英語メディアが伝える「JAPAN」なニュースをご紹介するこのコラム、今週は、日本企業の疑惑について英語新聞を読まないと詳しく分からないのは困ります——という話についてです。こういうことが続くと、英語読者が抱く「日本」のイメージと、日本国内の日本人が思う「日本」のイメージがずずずっと乖離していってしまう。そして(一部だと思いたい)外国人が日本企業や日本メディアに対して抱く悪いイメージが、「そらみたことか」と補強されてしまう。非常によろしくありません。はい、オリンパスについての話です。(gooニュース 加藤祐子) ○「文化の壁」が出たら疑え 前置きですが、私は3月11日からこちら何かというと「いやいや、日本の主要メディアがそれをどこも書いてないというのは、誤解ですから」と弁明してきた気がします。別に主要メディアの関係者じゃないのに。自分はもう新聞記者じゃないのに。「日本メディアはどこも東電に広
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