ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する連載。第60回はハーバード・ビジネス・スクール教授クレイトン M. クリステンセンによる『ジョブ理論』を紹介する。 顧客の「ジョブ」は何か マーケティングの大家であるセオドア・レビットが、「消費者は四分の一径のドリルを買いたいのではない。彼らがほしいのは四分の一の穴だ」と学生たちに教えたエピソードはあまりにも有名である。誰もがこの知見に納得するだろうが、いざ自社の製品・サービスを目の前にすると、このことは忘れ去られがちだ。 本書の冒頭でも、興味深いエピソードが紹介されている。「どうすればミルクシェイクがもっと売れるか」という課題を解決するために、ミルクシェイクを買う典型的なプロファイルに合致する人を呼び止めて、質問調査を行ったという。味を濃く?より固く?など、潜在的な購入者層の好みに合わせたシェイクに改良したが、このシェイクの