先日ロンドンへ出張して帰ってきた。街中が来年夏の五輪に向かって走っている。感心したのは、ホテルの前、一九世紀初頭から姿をほとんど変えないできた広場があり、来年大挙する報道陣のために歩道を拡幅しなければならないことだ。石工が朝から集まっては寸分の狂いもない大理石を一本ずつ、豪快に深く道路へ埋めていく。夜になると継ぎ目がまったく見えないほど平らで美しい道路に仕上がっている。石の堅さを力に替えて大都会を造った彼らの先祖の姿を、重ねて見た瞬間であった。 ひるがえって本書では、日本文化の歴史を汲(く)み、一方ひたすら日本の未来、とくに工業、環境、ひいては個人の幸福を大きく左右する「感覚資源」が挙げられている。自然の恵みに浴しながら天然資源が乏しいこの国では、繊細、丁寧、緻密、簡潔に環境をしつらえざるを得なかった。おのずと過剰を嫌い、節度に重きをおく志向が洗練へとつながり、文化の根っこに染み渡っている
以下は、やまのうさんの日記からの抜粋です。 次のサロンの参考にしてください。 原研哉・阿部雅世対談「なぜデザインなのか。」に 歴史を学ぶことについて言及したくだりがあります。 阿部 ところで、原さんは、集中力がすごそうですね。こうしてお話ししている間も、時々、くくっと自分の世界に入っちゃう。 原 入るときはね。でも最近気づいたんですけど、あることをずうっと考え続けているうちに、一気に分かる時が来る。過冷却って現象があるでしょう。零度以下になっても水が凍らなくてマイナス何度かの水として持続する状態。それが音とか、何か物理的な衝撃を受けた拍子にバシッと一気に凍っちゃうという現象です。何かがわかるというのも、これに似ていると思うんです。 西洋の歴史とか、日本の歴史とか、茶の湯の系譜とか、デザインの歴史とか。昔から歴史の授業は嫌いだったんですが、最近は少し変わってきた。歴史を読んだり聞いたりして辿
吉祥寺駅前の武蔵野市立吉祥寺美術館で原研哉さんの装丁展が開かれています。 初期作品(1986~)から現在(2008)までの装丁本が展示されています。 原さんは幅広くデザインの仕事をしていますが、今回の展覧会は「本」にしぼり 主に四六判が多く展示されています。初期の装丁、原田宗典・姫野カオルコの本は 暖かくやさしさに溢れています。展覧会パンフに載った原さんの言葉を紹介します。 「文芸書の装丁は、センスが良すぎてはいけない。そして本文の内容に合致しすぎ てもいけない。ほどよく野暮で、多少本文とずれている程度のとぼけ方がいい味を 出す。そういう意味で近年の仕事は、むしろきれいに決まりすぎて大事な無駄を 失っているのかもしれない。」・・・・ 自戒をこめたいい言葉です。 原研哉さんの装丁の中で私の好きな本は、この「からし色のワーゲン」の装丁です。 平野敬子さんの、なんともとぼけた装画がいいです。 「
10月に銀座のggg(Ginza Graphic Garelly)で原研哉展があって、その時にギャラリートークに参加するチャンスがあったのでその内容について書いてみる。 テーマは確かemptinessとsimpleについてだった 人間は進化の段階で直立二足歩行を得たわけだけれども、 それによって、 ・何かを拾う ・手を容器のかわりにする(ex:水をすくったり) という行為が可能になった。 両手を合わせて器の形を作ると、手のひらの中には何も存在していない空(emptiness)の状態である。 古代の日本は八百万の神ということで、何処にも神様が宿っているとしんじられていた。その名残として家を建てる前に代を立てるのは、あの区画の中に神様が入ってくるかもしれない(ここ重要)という期待をしているわけです。 世界遺産でもある伊勢神宮の本殿は20年ごとにリニューアルされている。しかし、それが連続的に10
──実際に「KENZOPOWER」のデザインをされてみていかがでしたか? 「TOKYO BY KENZO」の時とおなじように、まずパトリックが抽象的なイメージを最初に語りました。「男が荒涼とした街を歩いている。地下へと繋がる階段を下りていく。すると地下室には禅のガーデンがあり、そこに花が一輪咲いている……」という、ちょっと気恥ずかしくなるようなベタな物語を語りだしました。そういうことを真面目に語るフランス人がいるわけですよ(笑)。 しかし絵コンテをみせてもらうと、これは日本人には表現できないものなんですね。それが本当に美しい男優で演じられると納得させられる。 香りは当初は3種類候補がありましたが決まっていませんでした。だから発端は香りではなく、パトリックのイメージでした。そしてそれは物理的な容器をつくっているのではなく、香りの“依り代”をデザインするようなものだったと思います。
NTTドコモが3月6日に発表した「らくらくホン ベーシック」(F883i)は、ドコモと富士通、そしてデザイナーの原研哉(はら けんや)氏がコラボレートしたモデルだ。 原氏は、日本デザインセンター代表取締役、武蔵野美術大学教授を務めるグラフィックデザイナー。近年では、無印良品のアートディレクションや松屋銀座のリニューアルプロジェクト、梅田病院サイン計画、森ビルVI計画を手がけるなど、幅広く活躍するデザイン界の重鎮だ。 都内で行われたらくらくホン ベーシックの発表会では、NTTドコモのプロダクト&サービス本部 プロダクト部長の永田清人氏が、らくらくホン ベーシックの開発経緯や原氏を起用した理由について、シリーズの現状を踏まえながら説明を行った。 1999年に「らくらくホン」(P601es)が登場して以来、これまで9機種のらくらくホンが発表された。らくらくホンシリーズの累計販売台数は、2007年
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く