ものつくりの現場である工場ラインでは、人が誤りをおかしたとき大きな害にしないための安全策が何重にもはりめぐらされているといいます。 この安全策を追い求めた人物が、日本の技術者・新郷重夫(1909-1990)でした。新郷は日本能率協会の職員として、また1959年の独立後は自由業の身として、企業の品質改善を指導しつづけました。 トヨタ自動車や松下電器の工場ラインでの生産性向上を支援するなかで、新郷は「ポカよけ」の大切さを考えるに至ったといいます。 「あいつ、ポカしやがって」という状況を「よける」のが「ポカよけ」。人による誤りは起きるものとして、その影響を最小限にとどめることを目指す考えかたです。畑村洋太郎さんが提唱する「失敗学」での失敗の捉えかたと似ていますね。 坂本九の「SUKIYAKI」が米国で有名になったのと同じく、「ポカよけ」も「Poka-yoke」として米国で広く知れわたる概念となり