駒井稔.『編集者の読書論-面白い本の見つけ方、教えます-』(光文社新書).光文社.2023 https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334046637 面白い本である。現代におけるすぐれた読書論、読書案内になっている。 著者、駒井稔は、元、光文社古典新訳文庫の編集長。その経験、それから、それ以前からの編集者としての経験が土台になっている。 まず興味を引くのは、編集者という仕事についてである。私の感じるところでは、一般には、編集者というと、出版社の社員というような感覚で思われているかもしれない。だが、この本を読むと、書籍編集者、特に文芸書の編集者は、著者と対等に本を作っていく重要な役割であることが分かる。日本はともかく、欧米ではそうであると言っていいのだろう。編集者の仕事や出版ビジネスについて、欧米各国の事例、体験について語ってあるところは貴