毛沢東が『水滸伝』を愛読したことはよく知られている。蒋介石の国民党軍に追われ、山間部の農民を組織してそこに根拠地を築かざるを得なかった自身の経験について、「上梁山(梁山に上る)」と評した。共産党軍を、已むに已まれず悪事に走り、梁山泊に集まった水滸伝の豪傑たちにたとえたのである。権力に対する反抗精神や天に替わって道を行う英雄像は、少年期には誰もがあこがれるものだが、毛沢東はそこから政治闘争の知恵まで学んだ。 梁山泊には首領の宋江を補佐する呉用や公孫勝、蕭譲らの智将がいたが、毛沢東はこうした水滸伝の事例を挙げながら、「革命で勝つためには知識分子がいなければダメだ。プロレタリア階級は決起しなければならないが、困難な大衆には知識分子が必要であり、あらゆる階級にはその階級に奉仕する知識分子がいなければならない」と語っている。先日、習近平が知識人の言論を歓迎する発言を紹介したが、毛沢東以来の伝統を再確