「最適」所得税制の話の5回目です。 今回は、消費税との比較をしてみます。 前回は、あるマクロ経済的な前提(税収と政府支出がいずれもGDPの20%で、かつ、民間投資が民間消費の33%)のもとで、税が所得税だけの場合に、民間消費を最大にする所得税制を求めました。 今回は、税が消費税だけの場合に、同じマクロ前提のもとで消費税率を決定します。 そして、GDPや、各家計の実効税率や可処分所得について、前回の所得税の結果と比較します。 その結果から読みとれる重要な点は、消費税単独で社会保障をやることは不可能である、ということです。 消費税の場合、低所得家計への扶助の財源を得るために、中間所得家計に大きな負担がかかります。 消費性向が低い高所得家計の税負担が非常に軽いためです。 その結果、民間消費を支える中間層が薄くなり、消費が低迷して民間投資も少なくなり、GDPの水準が下がってしまいます。 95%の比