1984年4月、私は同期のトップを切って課長に昇進し、ロータリーエンジン(RE)の実験をする「第5エンジン実験課」の40人の部下を持つ身になった。排ガスのリコールによる損失は不問にされる一方、排ガス問題の根絶は評価されたようには思えなかった。それにもかかわらず課長になれたのは、何かしら使命感を持って本質的な仕事をしている姿が評価されたと思われる。課長就任挨拶を40人の前で行ったとき、彼らの背後に彼らの家族の顔が見えた。彼らの人生と彼らの家族の生活を自分が握っているという思いに緊張感で身が引き締まる思いだった。
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