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ブックマーク / antimainstreameconomics.blogspot.com (264)

  • マルクスの時代の経済とマルクス経済学、ケインズの時代とケインズ経済学、現代は?

    マルクスは、「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」の中で、歴史について次のように語っている。 人間は、自分で自分の歴史をつくる。しかし、自由自在に、自分で勝手に選んだ状況 のもとで歴史をつるくのではなく、直接にありあわせる、与えられた、過去から受け継 いだ状況のもとでつくるのである。 私も、まさにその通りと思う。人が生きている状況は、自分が選んだものではなく、好むと好まざるとにかかわらず、所与の前提として与えられている。このことは、人をとりまく思想的。精神的状況についても同様である。そこで、マルクスは、次のように続ける。 あらゆる死んだ世代の伝統が、生きている人間の頭のうえに悪夢のようにのしかかっ てくる。そこで、人間は自分自身と事物とを変革する仕事、これまでにまだなかったも のをつくりだす仕事にたずさわっているように見えるちょうどそのときに、まさにそう いう革命的危機の時代に、気づわし

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    gruza03 2017/02/15
    フラットな租税制度への回帰、ふたたび利潤シェアーの上昇/賃金シェアーの拡大、富と所得の不平等、失業率の上昇/職・雇用の劣悪化、金融資産バブルと金融崩壊、いくつかの国における重商主義の復活などである。
  • トランペンシュタイン(Trumpenstein)と米連邦高裁の決定

    アメリカ合衆国のネオリベラル政策や金融資主義、プレデター主義の問題点をあげつらってきたブログだが、アメリカ人の行動に感心することもある。 今回のトランプ大統領の入国を制限した大統領令の一時停止を命じたワシントン州シアトルの連邦地裁決定もそうだが、それを不服として命令の即時取り消しを求めて上訴を受けた連邦高裁もトランプ政権側の訴えを退けたことにも、感心する。 これが日だったら、日の裁判所が政権に逆らう決定・命令を出すことができるか、おおいに疑わしい。というよりないだろう。戦後の一連の違憲訴訟、またごく最近の沖縄辺野古に関する福岡高裁の決定など、政権の顔色をうかがってばかりの日の裁判所・裁判官には不可能なことではなかろうか。日の裁判所の追随主義、付和雷同主義(コンフォーミズム conformism)は、日人ならだれでも知っていることである。 だが、この付和雷同(右むけ右)は、「和

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    gruza03 2017/02/08
    これは、エマニュエル・トッドが言うように、これまで「新自由主義」をリードしてきた米国で、アングロ・サクソン的、「自由市場的」資本主義で、それを拒否するような大きなうねりが現れたことを意味するもの
  • なぜ格差は拡大したか? 税収構造の変化

    言うまでもないことですが、所得および富の格差(不平等)の要因の一つには、政府が以前は所得の再分配を行っていたのに、1980年代以降、それをやめたことにあります。もちろん、完全にやめたわけではなく、幾分かは現在でも行われています。 それがどれほどの規模(magnitude)なのか、統計で確認しましょう。といっても、特段、格別の新資料を紹介するわけではありません。政府(財務省)のホームページに載っているような統計にすぎません。が、なぜか政府や自民党(公明党も)はそれを人々に広く宣伝しようとはしませんし、またよほど強い関心を持ち・ある程度の訓練を受けた人でなければ、わざわざサイトを開いてみようとする人は多くないでしょう。 まず法人税ですが、これは以下の通りです。 法人税はかつて基準税率が43.3%でしたが、1980年代から下げられはじめ、また20世紀末、現在と引き下げられてきました。現在の基準税

    なぜ格差は拡大したか? 税収構造の変化
    gruza03
    gruza03 2017/02/08
    要するに1980年代以降、一方では、富裕者の減税を行い、他方では99%の庶民の増税・負担増を推進してきたわけです所得税減税と法人税減税が政府収入の減少に大きく寄与(!!)していることもまた言うまでもありません
  • 今朝の東京新聞より アベノミクスの目玉(第一の矢)の破綻をブレーンが認め、瞞着財政主義へ転換か?

    今朝の東京新聞にアベノミクスのブレーンの一人、浜田宏一氏のインタビュー記事が載っている。 私に言わせてもらえば、浜田氏の話していることはかなりいい加減だが、それでもマスコミの絶賛で始まった「アベノミクス」が効を奏せず、失敗に終わったことは、はっきりと示している。人も(また浜田氏以上に、それにのせられた黒田日銀総裁も)当は困っており、黒田氏などは暗い表情になっているとの情報もある。 さて、浜田氏のインタビューのどこがいい加減か? そもそも浜田氏だけでなく、岩田規久男氏、黒田氏などの「リフレ論者」(この言葉使いも当は間違っているが)は、異次元の金融緩和が貨幣ストックを増やし、物価を2%ほど上げ、その効果によって、あるいは政府・日銀が景気回復に気になって取り組むから、国民もそれをくみ取って景気が大幅に回復するはずだという、その「期待」によって、「デフレ不況」なるものから必ず回復すると主張

    今朝の東京新聞より アベノミクスの目玉(第一の矢)の破綻をブレーンが認め、瞞着財政主義へ転換か?
    gruza03
    gruza03 2017/02/01
    しかしながら、問題は、人々が様々な期待を持つことであり、かつ「アベノミクス」を心から信じている人がほとんどいないだろうということである。
  • 安倍首相の頭の中のアベノミクス

    これまでアベノミクスについて、様々(というほどではないか)な観点から検討してきたが、一つの点についてはまったく検討していない。それは、安倍首相の頭の中ではどうなっているのかという点である。これは非常に興味深い問題だが、残念ながら、論じるための材料がほぼまったくないも同然である。したがって、まともな経済学者なら避けるにちがいない問題である。 私が以下に述べることも、ほぼ仮定の話しとなる。ブログを読みすすめる人は、その点を了解した上で、読んで欲しい。 さて、最初から大きな仮定の話しだが、安倍首相は、(1)アベノミクスを心から信じていると考えていることも可能であろうし、(2)まったく逆に信じてはいないが、憲法改正等の政策を実現するために、有権者の票を期待しなければならず、そのためにたとえ有権者を瞞着するものであろうとも、人気取り政策を実施しなければならないと考えていると仮定することも可能であろ

    gruza03
    gruza03 2016/11/08
    物価上昇は、円安・ドル高による輸入品物価の上昇によるものであり、景気にとってはかえってよくない代物である。 また安倍政権下の名目賃金の上昇は、金融緩和とはほぼ無関係である。
  • 今日の「アベノミクス」

    日銀が五度目の「2パーセント達成」目標の延期を決めた。 最初は、2014年度中にだったかな。それが達成約束期間が近づくと、いつも先に延期するということを繰り返してきた。 世には、オオカミ少年の例えもあるが、そうはならずむしろ「百年河清を俟つ」ことになるのは必至の状況といえる。 とはいっても、当は、このまま物価が毎年2年も上昇したら、私たち庶民は困ってしまう。 例えば年金が毎年3%とか4%ずつ上がるのならいいだろう。物価が2%上がっても、実質的には1%、2%ずつ増えてゆく。計算すると、毎年1%増えるだけでも、約67年で二倍になる。30年では、約1.4倍だ。毎年2%なら約33年で2倍になり、16年ほどで1.4倍になる。 だけど、もし年金が増えずに、物価だけ上昇したら、年金支給額は、16年で、実質72%ほどに減ってしまう。それなのに、減ってしまったら、どうなるのか? 一体、黒田日銀は何をとち狂

    gruza03
    gruza03 2016/11/03
     例えば年金が毎年3%とか4%ずつ上がるのならいいだろう。物価が2%上がっても、実質的には1%、2%ずつ増えてゆく。計算すると、毎年1%増えるだけでも、約67年で二倍になる。
  • アベノミクスとは何か? 幻想と真相

    講演用に作成した原稿です。急いで作成しましたので、不備な点が多々あるかと思いますので、少しずつ推敲・改稿するつもりです。 2013年初の安倍政権の誕生以来、「安倍の経済政策を意味する「アベノミクス」なるものが登場し、それは長期にわたる日経済の「デフレ不況」を克服するための経済政策であると説明されてきた。しかし、実際には、どうなのだろうか? またあるところで安部首相は、「民主党政権」の時代に低下してきた(?!)賃金(雇用者報酬)の引き上げを実現するとも約束した。この約束(公約)は果たされたのだろうか?

    アベノミクスとは何か? 幻想と真相
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    gruza03 2016/11/03
    人々は物価上昇と好況を「期待し」、消費支出を増やしたわけでもない。そもそも異次元の金融緩和をすれば、人々が将来の成長を「期待」するはずだというのは、政府の勝手な思い込み、あるいは「愚民政策」にすぎない
  • 「トリクル・ダウン」理論の歴史、というほどではないが・・・

    世に「トリクルダウン」という語句があるが、この語句の意味するところにもそれ相応の歴史があるようである。 私の知る限りでは、この語句は、最初--かどうかわからないが、とにかく1930年代初頭という早い時期に--ウィル・ロジャース(Will Rogers)という人物(humorist)によって使われたようである。1930年代初頭というと世は、「大不況」の真っただ中。当時、アメリカの大統領だったハーバート・フーバーがある種の政策を取っており、それをロジャースが皮肉った。 「お金が、お金を持たない人々にしたたり落ちるという希望の中で、ほとんどすべてが上位階層(top)のために横取りされてきた。」(money was all appropriated for the top in hopes that it would trickle down to the needy.) ここに見られるように、「

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    gruza03 2016/10/21
    簡単に言えば、新自由主義政策とは、賃金を抑えて、利潤を増やす政策のことであり、また増えた利潤や所得にかける租税(法人税や所得税の限界税率)も減税するというもの。
  • 「異次元の金融緩和」はなぜ失敗に終わったのか? 歴史的経験から

    経済史の世界では、金融政策に関する様々な面白いトピックがある。 シニカルな名言を沢山残した米国の伝説的な経済学者、ジョン・ケネス・ガルブレイスが、例えばミルトン・フリードマンのマネタリズム(通貨主義)を皮肉った言葉などは、是非とも紹介する価値があるだろう。 たしか1976年にいわゆる「ノーベル経済学賞」(正確には、アルフレッド・ノー-ベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞)を受賞したフリードマンだが、1979年頃からイギリスとアメリカ合衆国で試みられるや、彼の唱えた金融政策がすぐに大失敗に終わってしまったことが明らかとなったことがあった。 私は、まだ大学院で経済学研究をはじめたばかりのことであったが、当時の日経新聞に誰だか名前は忘れたがある大学の教授が貨幣数量説を支持し、解説する文章を書いていたのを帰省中の電車の中で読んだことを思い出す。 さて、フリードマンの貨幣数量説によれば、貨幣は中立的

    gruza03
    gruza03 2016/10/21
    要するに、金融政策は中央銀行が経済を後ろに「引く」ことのできる紐のようなものであるが、紐を押してもその紐はぐちゃぐちゃになるだけである。
  • 「賃金デフレ」はなぜ日本だけで生じてきたのか? 1 

    1997年以降、日はかなり激しい「賃金デフレーション」に見舞われてきた。 簡単に言えば、これは、<賃金率の低下→雇用者所得の減少→消費支出=消費需要の縮小→景気悪化→賃金率の低下>という悪循環に陥ったことを示している。 しかし、こうした「賃金デフレ」が見られたのは、少なくとも主要国の中では日だけではなかっただろうか? 確かに米国でも賃金圧縮(wage squeeze)が生じ、その結果、賃金シェアーの低下が見られ、労働生産性が上昇しても実質賃金がほとんど上昇しないという現象が1970年代以降顕著となっていた。しかし、この場合でも、貨幣賃金(名目賃金)は上昇していた。もっとも米国では1980年代から今日に至るまでマイルドなインフレーション(消費者物価の上昇)が生じていたため、実質賃金がほとんど上がらなかったことも付け加えておかなければならない。 題に戻ろう。なぜ日のみ貨幣(名目)賃金の

    「賃金デフレ」はなぜ日本だけで生じてきたのか? 1 
    gruza03
    gruza03 2016/10/19
    実際にはインフレは、「所得分配をめぐる紛争」から生じるのであり、例えば賃金が労働生産性より引き上げられた場合に、企業が利潤圧縮を避けようとして、販売価格を引き上げる、等々である。
  • ケインズの乗数理論は、波及効果の理論ではない! 財政乗数の理論でもない!

    ケインズの『一般理論』に乗数(multiplier)が出てくるのは、この著書を読んだことのある人ならもちろん、経済の専門的研究者でなくても多くの人が知っているだろう。

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    gruza03 2016/10/07
  • マーガレット・サッチャーの迷言 「社会といったものなどない。」

    かつて(1980年代に)イギリスの首相を務めたマーガレット・サッチャー氏(故人)は、かずかずの名言(迷言?)を残しました。 「他の代替案はない。」(There is no alternative. 略してTINA) 「くやしかったらがんばりなさい。」 「社会というものなどない。」 (その他は省略します。) 「他の代替案」というのは、彼女の推進する「新自由主義政策」で、「くやしかったらがんばりなさい」というのは、これからは何でも「自助」でゆくから、貧しいひとは一生懸命頑張って豊かになりなさい、といった意味ですjが、そもそも社会では、スタートラインに大きな格差があるのだから、誰でも頑張れば大金持ち(資産家)になれるわけではありません。 このうち「社会というものなどない」(There is no such thing as society.) というのは、社会科学者なら少々考えさせられる言葉です

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    gruza03 2016/10/05
    アメリカは、訴訟にお金がかかりすぎて大変だ。日本のように、訴訟に頼らずにやってゆける社会が最善なのに・・・。」といった趣旨の言葉を私に話しかけてまいりました。
  • アメリカとイギリスで始まる若者の新しい動き 「新自由主義」批判の波

    アメリカとイギリスの若者の間で、新しい動きがはっきりしてきました。 それは、新自由主義(ネオリベラル)政策と決別し、新たな社会主義を模索する動きです。 そもそも1980年頃まで、世界経済は現在とはかなり異なる状態にありました。 いわゆる「資主義の黄金時代」(golden age of capitalism)といわれる時代にあって、経済の成長率もかなり高かったわけですが、それ以上に特徴的だったのは、労働生産性の上昇とともに、それに比例して、あるいはそれ以上に人々の雇用者報酬(賃金)が引き上げられていったことです。 そのため、最近日でも注目されたサエズ、ピケッティの研究が示すように、戦中から戦後にかけて大幅に縮小した所得格差がふたたび拡大することはありませんでした。そして、この時代に大衆消費社会が到来し、中間階層といわれる階層が出現しました。 ところが、1979年のイギリスの総選挙、それに

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    gruza03 2016/10/05
    これらの高成長やトリクルダウンは生じませんでした。成長率は以前のような高率にもどったわけではありません。(まあ、高度成長はいつまでも続くわけではないので、この点は問わないとしましょう。)
  • 昨日の東京新聞の注目記事 アベノミクスの幻想を示す

    先々月(8月)の22日に白内障の手術を受けてから、約5週間。やっと眼科の先生から仕事復帰の 許可がおり、運転免許証更新の際の視力検査もかるがると通過。世界がはっきりと見えるようにな りました。 このブログは、書きかけのものが多く、為替相場、EU、英国のEUからの離脱(Brexit)など、中途 半端のまま終わっているものが多々ありますが、その理由は、書きながら調べ、調べながら書いて いるので、また途中でウチナーグチ(沖縄語)やアイヌ語、日古代史(近年のDND分析によるも のなどと含む)、趣味的な事柄に関するや(場合によっては)専門的な論文などを読みだすもの だから、なかなか先に進まないという事情もあります。 それに昨年からは、「九条の会」の活動もあり、さらに日米欧の軍産複合体研究のことも加わり、 忙しくなりました。 さて、昨日(10月1日)の東京新聞からいくかをピックアップします。 1面

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    gruza03 2016/10/05
    やれ財政赤字だ、財政健全化といいながら、この放漫ぶり、散布は許されないでしょう。/緊縮経済学者
  • 税金を払わない巨大企業 2 アベノミクスは所詮供給(企業)側の経済学の失敗例に過ぎない

    四~六月期のGDPは、名目0.2パーセント、それから物価上昇分を差し引いた実質GDPは0パーセント。個人消費は0.2パーセント。 政府は、公共事業を中心に景気の活性化を狙うが、その効果は小さく、後には借金が残る。しかも、財政赤字の拡大を理由に社会保障費の負担増や消費税の引き上げがまっている。まさに「三重苦家計を圧迫」という状況が続く(日の「東京新聞」朝刊より)。 さて、そのような訳で、今日の「東京新聞」社説は、「三年続くアベノミクスはあらためて効果が乏しいことを裏付けた形だ。四~六月期の実質国民総生産(GDP、速報値)は横ばいだった。「道半ば」ではなく、誤った道を進んでいると気づくべきだ。」としています。 まったく同感と言わざるをえません。 さて、これまでもアベノミクスについては、ブログでも主に金融の観点から、批判的に検討してきましたが、まさにこの点では、アベノミクスの異次元の金融緩和

    gruza03
    gruza03 2016/08/21
    株式の購入はある意味で「投資」ですが、生産力を成長させるための設備投資ではありません。こうした行動は、資産価格を引き上げる役割を果たしますが、経済を発展させ、人々の暮らしをよくするものではありません。
  • 税金を払わない巨大企業

    昨日、横須賀中央駅前を通ったところ、「年金生活者」のグループが、政府によって毎年老齢音金額を減額されてゆく現状を訴えていました。私も今年から、年金生活者の一員となり、生活不安を抱えている身。将来が不安になります。もちろん若干の蓄えはあるとはいえ、将来不安(健康、自己、子供たちのこと)のため、思い切って消費を増やす気にはなれません。 その上、消費税の10パーセントへの増税は、自民党の選挙対策の一環としてさしあたりは見送られましたが、選挙に勝ち、「改憲勢力」の3分の2を確保した自公政権にとっては、消費税の引き上げを延期する理由はなくなりました。形式的な理屈上は、日全体の消費需要がかりに350兆円だとすると、2パーセント・ポイントの引き上げは、7兆円の税収増をもたらすことになります。ただし、これは大衆増税によって景気が悪化しなければの話であり、経済理論の常識やこれまでの経験に照らすと、(政府が

    税金を払わない巨大企業
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    gruza03 2016/08/21
    要するに、一方で99パーセントの庶民に大衆課税を強要しながら、他方では巨大企業を優遇するという政策を実施してきたのが、アベノミクスであり、この事実は経済学者として見逃すことができません。
  • 連合王国(イギリス)のEU離脱を考える(1)

    昨年の11月にブログを更新してからあっという間に半年あまりが過ぎてしまった。 この間、退職と移転を前に身のまわりを整理したり、引っ越しをしたり、体調をくずしたり、退職後にちょっとした国内旅行をしたり、しているうちに、(数えるとちょうど)7か月が過ぎている。 さて、先日はイギリスのEU残留・離脱を問う国民投票があり、また国内では7月10日の選挙をまじかにひかえ、マスコミも様々な視角から取り上げているので、私も、経済および経済学を研究しているものとして、それらについて若干の雑感じみたものを書いてみることとする。 まずは、イギリスのEU離脱について。 これについて、私の気持ちはアンビバレントである。一面で、イギリスがEUから離脱することは、いうまでもなく「一つのヨーロッパ」(one Europe, eine Europa)の理念からすれば、後退であろう。残念という気持ちがなくはない。しかし、他面

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    gruza03 2016/06/27
    賃金は、普通の労働者が稼ぐ所得であり、利潤は会社(内部留保)、株主(配当)、経営陣(役員報酬)などの受け取る所得である。問題は、近年、どの国でも賃金が抑制され、その分、利潤が増える傾向にあることである
  • インフレの理論とデフレの理論 2

    インフレーションという現象が費用=所得と関係しており、また所得分配をめぐる紛争に関係しているならば、デフレーション(デフレ)のほうはどうであろうか? もちろん、デフレも所得分配をめぐる紛争に関係していることを示す事実(facts)および証拠(evidence)は存在する。ただし、インフレが所得を増やそうとする各経済主体の行動に直接関係しており、比較的簡単に説明しやすいのに対して、デフレの場合は若干複雑である。 ここでは簡単のために外国を捨象した閉鎖経済(closed economy)を仮定する。また以下の説明は素描であり、さらに詳しい説明が必要となるだろう。 まず出発点として確認しなければならないのは、価格設定(pricing, price setting)を行なうのが消費を生産・販売する企業であることである。 この問題を考えるとき出発点となるのは、価格設定に関するこれまでの主要な企業調査

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    gruza03 2015/12/02
    実際には、賃金圧縮は社会全体の賃金所得を圧縮し、その結果、購買力・有効需要が減少する傾向を導く可能性が高い。いわゆる世に言う「賃金デフレ」である。
  • インフレの理論とデフレの理論 1

    その昔、インフレーションが大きな問題だったとき(特に1970年代)には、インフレが何故生じるのかが、経済理論上の大きな論点をなしていた。 思いつくままに、その当時唱えられた「理論」を並べてみると、 <デマンド・プル論> <コスト・プッシュ論> <貨幣数量説> などがあった。しかし、これらはすべて説明理論として失格である。何故か? <デマンド・プル論> これは需要側にインフレ発生の原因を求める考え方であり、一見したところ、非のうちようのない理論に思えるかもしれない。が、よく考えると奇妙である。まず需要側という意味を、需要量が供給量より超過しているという意味に取った場合、これは事実に反している。何故ならば、当時、とりわけ1970年代にインフレーションが亢進したときには、需要量が供給量(生産能力)を超えることは決してなかったからである。むしろ1970年代は停滞と景気後退によって特徴づけられていた

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    gruza03 2015/11/27
    デフレーションも<所得分配をめぐる紛争>によって説明できるだろうか?私は、可能だと考える。というよりも本質的には、所得分配の問題なしにデフレも説明できない。もちろん、インフレもデフレは貨幣的現象である
  • 安倍黒ノミクスの嘘 輸入されたインフレが有害な理由 

    安倍政権・黒田日銀は、日が「デフレ脱却」を果たしつつあると主張しているが、それは単純な嘘にすぎない。ここでは、次の2つの点を指摘しておきたい。 1)そもそもリフレ論が立脚する貨幣数量説(マネタリズム、通貨主義)が単なる「信仰」であり、成立しないことは前に述べた通りである。 中央銀行(日銀)が市中銀行に貨幣供給(マネタリーベース)を増やしたところで、市中銀行の人々(企業、家計等)に対する貸付が増えるとは限らない。また貸付が増えても物価水準が上がるとは限らない。さらにまた物価水準が上がることと、景気がよくなることはまったく別のことである。 現実世界の経済をよく説明するポスト・ケインズ派の経済理論が示す通り、物価は、費用に、したがって所得に関係しており、費用=所得の側から説明されなければならない。 そのことを示す一例をあげよう。例えば1992年の市場移行期のロシアで生じたように、旧ソ連の多くの

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    gruza03 2015/11/27
    日本円のバーゲンセールは、日本製品の価格下落と輸入品の価格上昇を意味することは、経済学の常識、イロハである。このようにして実現された輸入インフレは、はたして日本の景気を好転させるだろうか、疑問である。