【ワシントン=渡辺浩生】米証券大手リーマン・ブラザーズに対しては「一切考えなかった」(ポールソン米財務長官)公的資金による救済が、米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)には適用された。資産総額が1兆ドル(約106兆円)を超え、各国に保険契約者取を持つAIGがもし破(は)綻(たん)すれば、世界的な金融恐慌につながる恐れがあったためだ。 破綻した際の影響を考え、公的資金必要なしと判断すれば、総資産6000億ドル(約64兆円)と日本の国家予算(約83兆円)並みの規模を持つリーマンさえもばっさりと切り捨てる。戦後最大の金融危機を荒療治する米国の冷徹な市場主義が、そこに見える。 AIGとリーマンの明暗を分けたFRBと米政府の下した判断の違いは何だったのか。 「緊急かつ切迫した状況に限り、ノンバンク(銀行ではない金融会社)への貸し出しを認める」。保険会社の監督権限は州政府にあり