「命の砦」と呼ばれ、瀕死の患者を受け入れる3次救急医療機関が、地方で崩壊寸前だ。鳥取県では指定2病院のうちの一つ、鳥取大学医学部付属病院の救急科専門医4人全員が2009年3月末で退職する。もう一つの県立病院でも救急専門医は1人しかおらず、他科の先生が兼務して、なんとかやっている状態だ。救命医療に携わる医師たちは、「全国的に地方の救急医療が破綻してきている」と指摘する。 「24時間あいている便利な病院だと思われている」 鳥取大学医学部付属病院(米子市)の救命救急センターに勤務する救急科専門医全員が2009年3月末で辞める。退職するのは、センター開設時からセンター長を務める八木啓一教授(54)や准教授ら4人。八木教授は09年2月4日の記者会見で、理由について、「救急専門医を育てようと頑張ってきたが、様々な問題で辞める部下を引き留められなかった」などと語った。04年から現在の臨床研修制度が始まり
【日本の議論】医者はどこに消えた? 「医療崩壊」構図と解決策は (1/5ページ) 2008.12.14 17:18 東京でさえも妊婦受け入れ拒否が起きたことに、ただならぬ「医療実態」を感じた人は少なくないだろう。加えて今年は産科や小児科病棟の閉鎖など、各地から医療混乱の報告が相次いだ。医師不足は深刻である。厚生労働省はようやく腰を上げ、医師数の増員策を考えはじめたが、直ちに状況が好転する見込みはない。なぜ、医療現場から医師の姿が消えたのか。なぜ、ここまで状況は深刻になってしまったのか。これから、どうなっていくのか。 医師は減っているのか 日本の人口1000人あたりの医師数は2・0人。これはOECD(経済協力開発機構)諸国の中では、30カ国中27位。最低レベルの数字だ。最高はギリシャの4・9人、フランス、ドイツは3・4人、アメリカは2・4人といった具合である。 先進国の中では、日本は医者が
■「ガダルカナルの日本軍」をパンクさせた「ER」というアイデア 「妻が死をもって浮き彫りにした問題を、医者、病院、都、国が力を合わせ改善してもらいたい。妻の死を無駄にしてほしくない」 今年10月、脳出血を起こした東京都内の妊婦が8病院に搬送を拒否され、出産後に死亡した。夫は記者会見で「だれも責める気はなく、裁判を起こすつもりもない。赤ちゃんを安心して産める社会にしてほしい」と話した。 当初、医師不足を理由に搬送を断り、最終的に女性の収容先となった都立墨東病院は「総合周産期母子医療センター」の看板を掲げる大病院だった。看板に偽りがあったのはなぜだろうか。 東京23区には700床以上の大病院が21ある。その運営母体は大学が12(私立10、国立2)、都立が4、国立2、その他3。この12の大学病院のうち、8つは都心部の新宿・文京・港区にあり、残る4つは北部と南部に2つずつ。問題の起きた東部、西部地
医師の大量退職から経営難に陥った大阪府阪南市立病院で、新たに確保した医師が新市長の病院経営見直しなどに反発し辞意を伝えている問題で、医師8人が12日、辞表を提出した。この日就任した福山敏博市長は話し合って慰留する考えだが、市立病院の運営は再び厳しい局面を迎えた。 この日午前中に、辞表が提出された。関係者によると、常勤的に診療をしている医師2人のほか、当直医などで、来年2月末などに退職する意向という。 阪南市立病院は、医師の大量退職で昨年7月に内科が休診。その後、歩合給を導入して医師の平均年収を約2000万円に引き上げる待遇策を掲げるなどして医師確保を進め、今年9月に内科の診察を再開するなど再建に乗り出していた。しかし、10月の市長選で現職を破り初当選した福山市長が、歩合給の見直し検討などに言及していた。 医師らは、福山市長の発言は、給与体系を見直した議会の議決を無視したもので、信用で
「急患断らぬ」貫き25年 千葉・柏の病院の医師確保法(1/2ページ)2008年11月6日15時2分印刷ソーシャルブックマーク 24時間、どんな救急患者も受け入れると表明している名戸ケ谷病院。外来患者も日に550人訪れる=千葉県柏市名戸ケ谷 救急患者の受け入れ拒否が社会問題になる中、「どのような急患も受け入れる」ことを開院以来25年間守り続けている病院が千葉県柏市にある。医師の住宅整備や研修・学会への参加支援など、仕事環境の充実を図ることで医師を十分確保できており、若い研修医の人気も高い。 柏市の名戸ケ谷(などがや)病院は内科、外科など21科247床、中規模の民間総合病院で、2次救急を担う。ここを目指して年間5千台の救急車が走る。柏市内の救急搬送の4割前後を受け入れているほか、近隣の我孫子、松戸、野田市、さらに埼玉県から運び込まれる患者も少なくない。 産婦人科はないが、妊婦も断らず、とにかく
東京都調布市内のかかりつけの病院で嘔吐(おうと)などの症状を訴えた30代の妊婦が今年9月、杏林大学病院(三鷹市)など複数の病院に受け入れを断られ、最終的に20キロ以上離れた都立墨東病院(墨田区)で出産し、脳内出血の処置を受けたことが4日、分かった。母子ともに命に別条はないという。 関係者によると、9月23日未明、妊婦がかかりつけの病院で嘔吐を繰り返したため、杏林大病院へ搬送を要請。ところが同病院は「他の妊婦の帝王切開の手術中」などとして受け入れを拒否。かかりつけの病院は都内の複数の病院にも搬送要請したが、いずれも断られた。 その後、杏林大病院に再度受け入れを要請したが、「帝王切開の手術自体は終了しているが術後の処置などが済んでおらず、新たに妊婦の搬送を受け入れることは困難」と拒否された。 杏林大病院は、東京23区外の多摩地域で唯一「総合周産期母子医療センター」に指定されており、かかり
先月上旬に脳出血で死亡した東京都内の妊婦が、「総合周産期母子医療センター」のある病院など8病院で受け入れを拒否された問題を受け、読売新聞が全国75か所の同センターを対象に調査した結果、搬送の受け入れを「断る場合がある」というセンターが4割弱に上り、特に大都市部で多いことが分かった。 逆に地方では大半が「原則すべて受け入れる」としている。産科医不足を背景に、土日などに「当直2人体制」が維持できないセンターは5割近くに上った。 調査は、各センターからの回答や都道府県への取材により、71か所の状況を把握した。妊産婦の受け入れを要請された場合、「断る場合がある」は26か所(約37%)。内訳は、東京都内の全9か所、神奈川、福岡県の各3か所、大阪府と栃木県の各2か所、埼玉、千葉、茨城、群馬、和歌山、広島県と京都府の各1か所。首都圏の1都3県では回答した15か所のうち14か所(約93%)に上った。断
脳出血を起こした東京都内の妊婦(36)が都立墨東病院(墨田区)など8病院に受け入れを断られ、死亡した問題で、墨東病院周辺の墨田、江東、江戸川の3区にある医師会など地元産科医らでつくる6団体が今年2月、東京都に対し、産科医不足に対応するよう要望書を提出していたことがわかった。 舛添厚生労働相が27日、江戸川区医師会と懇談した際、明らかになった。 要望書は、都病院経営本部と墨東病院あてに提出され、同病院の常勤医が年々減少していることを指摘して、「都民の安心できる周産期体制を準備してほしい」と求めていた。江戸川区医師会の徳永文雄会長は「今回の問題は医師不足から起きた悲劇。要望書に対し、都からいまだに明確な回答がない」と訴えた。 懇談後、舛添厚労相は「どうすれば改善できるか、ERと周産期医療との連携がどうあるべきか検討したい」と述べた。
東京都内で脳内出血を起こした妊婦(36)が、8病院に受け入れを拒否され死亡した問題について、舛添要一厚生労働大臣は24日午前、最初いったん受け入れを拒否した、都立墨東病院(墨田区)を視察した。病院の救急患者の受け入れ態勢などの状況を把握するのが目的。 約40分にわたった視察や病院幹部らとの意見交換を終えた舛添厚労相は、「医療や介護は地域に密着したものなので、地域で力を合わせて問題解決を行わないといけない。だが、やはり構造的な問題は医師不足だ」と述べ、全国の総合周産期母子医療センターの実態把握や、医師不足の原因とされる臨床研修制度の見直しを急ぐ考えを示した。 視察の冒頭、小林剛院長が「心配をかけすみません。今後いい方向に進めていきたい」と述べると、舛添厚労相は「教訓として厚労省が支援できるところは支援し、仕事ができる態勢を整えていきたい」と話した。 厚労省では24日以降、受け入れを拒否した他
東京都内で脳内出血を起こした妊婦(36)が、8病院に受け入れを拒否され、死亡した問題について、塩谷立文部科学相は24日の閣議後の記者会見で、「特に産科では医師不足が言われており、そういう根本的なことも原因としてあった」とする認識を示した。 塩谷文科相は、大学医学部の定員増や臨床研修制度の見直しなど、医師不足対策を進めていることを説明した上で、「これらの施策はすぐに結果が出ない。救急医療体制や各機関の連携を整えることが必要だ」と述べた。
運ばれた妊婦が脳内出血のため死亡した都立墨東病院=東京都墨田区江東橋で2008年10月22日午前9時47分、須賀川理撮影 妊娠中に脳内出血を起こした東京都内の36歳の女性が今月4日夜、都立墨東病院(墨田区)など七つの病院に受け入れを断られ、約1時間20分後、最終的に墨東病院に搬送されたものの、3日後に死亡していたことが分かった。墨東病院はリスクの高い妊婦に対応する「総合周産期母子医療センター」に指定されているが、産科医不足で休日の当直医が1人態勢となり、救急患者の受け入れを制限していた。都は一連の経緯に問題がなかったか調査している。 【関連】妊婦死亡:拠点病院なのに… 産科医不足、また悲劇 都によると、女性は4日午後7時ごろ、下痢や吐き気、頭痛などを訴え、救急車で江東区のかかりつけの産婦人科医院に運ばれた。主治医が近くの墨東病院に受け入れを要請したが、産科の当直医は「土曜日のため当直が
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