日本屈指の巨大企業・東京電力。社員たちは、あの日を境に、「電気の供給」という仕事に加え、「原発事故の処理」「巨額の賠償」という大きな責任を背負った。東電社員はこの1年、何を見て、何をして、何を感じてきたのか。そもそもあの悲劇は、なぜ起きたと考えているのか、東京支店の技術部門で働く30代社員に話を聞いた。 * * * 事故後、何度も会社を辞めようと思いました。妻は僕の代わりにハローワークにも行ってくれた。 でも、この年で、元東電社員となれば、雇ってくれるところはありません。子供が小さいので、「私立は無理かな」とか「習い事はやめさせなきゃ」とか、将来のことを考えると、暗くなります。今は、「働くことで、少しでも被災地の復興に繋がればいい」と思い込むことで、毎日を過ごしています。 事故の原因? 国と我々電力会社の想定の甘さに尽きると思います。「組織が官僚的だ」「補償が足りない、遅い」という批判は甘