政治色が強くなった中国の教科書 ここ数年、中国人富裕層や中間層の一部が日本に「潤」(ルン=移住、移民、逃亡などの意味)していることは、私を含め、多くのメディアが報道してきた通りだ。背景には中国の政治リスク(不透明さ、不安定さ)、コロナ禍のロックダウンなどがあるが、最近、取材した複数の中国人によると「第3の理由」もかなり大きなウエートを占めていることがわかった。 それは「我が子に今の中国の教育を絶対に受けさせたくない」という理由だ。以前、『中国人が日本を買う理由』にも書いたが、中国で暮らすことの心配は、財産没収の不安、医療事情の脆弱さ、老後の不安、情報統制など言論の不自由さ、台湾問題など多岐にわたっている。しかし、その中でも、彼らがとくに声を大にしていうのが「子どもの教育問題」なのだ。 22年末に来日した中国人男性には小学生と中学生の子どもがいる。彼は2人とも中国のインターナショナルスクール