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  • 「わきまえない障がい者」を叩く人たちが抱く「自由への恐怖」 « ハーバー・ビジネス・オンライン

    2021年4月4日、車いすユーザーでコラムニストの伊是名夏子が、自身のブログで「JRで車いすは乗車拒否されました」という記事を投稿した。家族旅行の際、目的地の来宮駅はエレベーター設備がない無人駅であるため、車いす対応を小田原駅で要請したところ拒否されたという内容で、JRのバリアフリー問題を訴える主旨だった。 しかしこの記事は、ネットにおいて「炎上」した。「出発前に問い合わせすべきだった」「感謝の気持ちが足りない」「障碍者も譲歩すべきだ」「こんな強硬手段を使ったところで何も改善されない」「駅員がかわいそう」等々。中には「全ての駅をバリアフリー対応しなければならないとしたら無人駅は廃駅になるがそれでいいのか」といった言いがかりに近いものもあり、しかもその知性の欠けた主張をしたのが大学教員だというから、当に嘆かわしいものだ。 こうした批判に対する具体的な反論は、伊是名自身の4月7日の記事を含め

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  • 呉座勇一「炎上」事件で考える、歴史家が歴史修正主義者になってしまうということ « ハーバー・ビジネス・オンライン

    「陰謀実行の最大の難点は、秘密裏に遂行しなければならないため、参加者を限定せざるを得ないところである」(呉座勇一『陰謀の日中世史』角川新書、2018年、49ページ) 3月末、日中世史研究者の呉座勇一が、Twitterの鍵アカウントで英文学研究者の北村紗衣を含む様々な人物に中傷を行っていたことが発覚し、NHK大河ドラマの監修を辞任し、所属先の研究機関もコメントを出すなどの事態になった。非公開アカウントとはいえ、約4000人のフォロワーに対して、リツイートやいいねを含めて一方的な中傷を行っていたことが問題視された。その中傷の中には、セクシュアルハラスメント的な発言も含まれている。筆者も呉座によって中傷された者のうちの一人だったが、その件については人から謝罪をいただいている。 この件の発端は、同じく日中世史研究者の亀田俊和が、『異形の王権』(平凡社)などで知られる日中世史研究の大家、網

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  • オルトライトに乗っ取られたキャラクターの悲劇。「ネタ化」の怖さを描くドキュメンタリー『フィールズグッドマン』 « ハーバー・ビジネス・オンライン

    ペペは、作者マットとその友人たちの日常をモデルとして描かれた漫画『ボーイズ・クラブ』に出てくるキャラクターで、皆の弟分という設定。「Feels good man(気持ちいいぜ)」は、彼がパンツを全部下げて、尻がみえた状態で放尿することについて言ったセリフだ。 ペペのキャラクターの知名度を一気に世界的なものに押し上げたのは、2016年アメリカ大統領候補ドナルド・トランプだった。トランプをこのペペのキャラクターに改変したコラージュがSNSに投稿され、それをトランプ自身がリツイートしたのだ。これ以降、作者の意図に反してペペはトランプ支持者のシンボルとして機能し、ヒラリーを下したあの選挙戦の最中に掲げられることとなった。 トランプがペペとなったのは偶然ではない。トランプのネット戦略チームは、このペペがアングラなインターネットの掲示板でどのように機能していたかを見抜き、それを巧みに利用したのだ。 イ

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  • 貧しい白人を描いた『ヒルビリー・エレジー』は、本当に「トランプ支持者の物語」なのか « ハーバー・ビジネス・オンライン

    NETFLIXにて昨年11月末から配信中の『ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌』は、J・D・ヴァンスの同名エッセイを原作とした自伝的映画である。主人公のヴァンスは「ヒルビリー」と呼ばれる、都市部のエリートからは蔑視されるような田舎の白人貧困階級出身。その境遇を抜け出そうと努力し、弁護士となり、一流法律事務所に就職する道が開けたとき、母親の問題が持ち上がり……というストーリー。 この映画も原作エッセイも、しばしば「トランプを支持するような白人貧困層とはどのような人々なのか、この映画を見れば(このを読めば)わかる」という謳い文句で宣伝されている。しかし、この作品は当に、そのような文脈によって読めるのだろうか。 原作エッセイの副題「アメリカの繁栄から取り残された白人たち」は、邦訳オリジナルであり、原作の副題は”A Memoir of a Family and Culture in Crisis

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  • 私たちに「世界を変える力」はある。総選挙で投票に行き、それを証明しよう « ハーバー・ビジネス・オンライン

    料理研究家の土井善晴氏が、私たちに「世界の大問題を解決する能力がない」とツイートし、多くの賛同を得ています。具体的には「地球環境のような世界の大問題をいくら心配したところで、それを解決する能力は一人の人間にはない」とのツイートです。 地球環境のような世界の大問題をいくら心配したところで、それを解決する能力は一人の人間にはない。大きな問題に対して、私たちができることは「良き事をする」こと。どんな材を使おうかと考えることは、すでに台所の外に飛び出して、社会や大自然を思っていることにつながる(一汁一菜でよい提案) — 土井善晴 (@doiyoshiharu) January 24, 2021 しかし、これは事実に反する「呪いの言葉」です。小中高で社会科・公民・政治経済を教える教員、大学で社会科学を教える教員からすれば、社会的な影響力を持つ人がこのように発言し、それに多くの人々が賛同することに

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    hokusyu
    hokusyu 2021/01/29
  • トランプを敗北に導いた『すべてをかけて:民主主義を守る戦い』から学ぶ民主主義のための戦い方 « ハーバー・ビジネス・オンライン

    ステーシー・エイブラムス (Photo by Melina Mara/The Washington Post via Getty Images) 1月5日、アメリカ合衆国ジョージア州で上院議員選挙の決選投票が行われ、2議席ともに民主党候補が獲得した。ジョージア州は大統領選挙の帰趨を占う接戦州の一つとされていたが、11月の投票では民主党のバイデン候補が勝利し、大統領の椅子をほぼ確実なものにした。ジョージア州で民主党の大統領候補が勝利するのは1992年のビル・クリントン以来であった。 この歴史的勝利の立役者と言われているのが、ステイシー・エイブラムスだ。エイブラムスは2018年のジョージア州知事選挙に立候補したが、共和党候補に惜敗した。エイブラムスはこの選挙において、あるキャンペーンを行っていた。投票権がない人々に、積極的に有権者登録をしてもらうというものだ。2020年、このエイブラムスの運動

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  • 2020年の日本政治が露呈したこと。コロナ禍中での「決められる政治」の無能さ « ハーバー・ビジネス・オンライン

    2020年、あらゆるニュースの中で最大のトピックといえば、もちろんコロナウイルスだ。王冠という名のこのウイルスは、あらゆる人々に行動変容を迫り、文字通り世界を全く違ったものにした。同時に事実上の非常事態が続く中で、社会経済に深刻なダメージを与えたこのウイルスは、この社会に渦巻いている様々な政治的なものを副次的にあぶり出した。 2020年5月、黒川弘務検事長の検事総長への就任を念頭に置いた検察庁法改正案への反対が、SNSを中心に拡大した。黒川検事長は当時の安倍政権に近く、黒川「検事総長」を通して検察を統制下に置くことで、安倍政権の様々な疑惑を追及させない意図があるのだとみられていた。 黒川検事長は、コロナウイルス流行拡大に伴う緊急事態宣言下において複数回の賭けマージャンを行ったという事実が暴露されたこともあり、自ら辞任。同法の改正案も立ち消えとなった。 この運動は、まさにコロナウイルス流行下

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  • 「平和の像」恒久設置へ。日本政府が決めてしまった「オウンゴール」 « ハーバー・ビジネス・オンライン

    2020年12月1日、ベルリン・ミッテ区の区議会は、同区に設置された「平和の像」の恒久設置に向けて、手続きを進める決議案を採択した。「平和の像」はアジア・太平洋戦争における日軍「慰安婦」を象徴し、全ての戦時性暴力・性奴隷制に反対する意味が込められている。 この件は日韓国で注目を集めており、この決議は地元ドイツよりも早く、両国で報じられた。 「平和の像」は今年9月末、民間団体の「コリア協議会」の主導で、約1年間の期間限定で、ミッテ区のモアビート地区に設置された。ベルリンでは2019年、「あいちトリエンナーレ」で展示されていた「平和の像」と同じ作者によるモニュメントが、期間限定で設置されている。女性芸術家グループGEDOKが主催するイベントで、ブランデンブルク門前に展示されていた。 日政府の妨害を想定して、「平和の少女像」の設置計画は、可能な限り秘密裏に推進された。9月末、設置の事実が

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  • 『ヘタリア』再始動を手放しで喜べない理由 « ハーバー・ビジネス・オンライン

    10月末、アニメ『ヘタリア World★Stars』が2021年春より「再始動」することが発表された。アニメ『ヘタリア』は、2009年から2015年にかけて合計6期がつくられており、2021年から始まるとされる新シリーズは、6年ぶり7期目となる。放映はいずれもネット配信を主としており、地上波では放映されていない。 アニメ『ヘタリア』は、日丸屋秀和による漫画『Axis powers ヘタリア』を原作としている。2006年に個人サイトのweb漫画として発信された同作は、2008年に商業化され、2014年以降は『ヘタリア World★Stars』が「少年ジャンプ+」において連載中である。 6期の放映から期間を置いてのアニメ新作の発表は、昔からのファンを活気づかせた。しかし同時に、このコンテンツを「再始動」させることに対する戸惑いや不安を表明するファンもいた。『ヘタリア』の評価は、ファンも含めて二

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    hokusyu
    hokusyu 2020/11/27
    追記:記事によるのですが、今回のタイトルは編集部につけていただいたものです。
  • トランプや維新はなぜ「敗北」を認めないのか? 『ザ・ボーイズ』シーズン2で認識する現実政治の愚行 « ハーバー・ビジネス・オンライン

    LAで行われたドライブインプレミアイベント Photo by Frazer Harrison/Getty Images for Amazon Studios Amazonオリジナルドラマ『ザ・ボーイズ』のシーズン2がAmazonプライムにて配信されている。第一シーズンは既存の作品に登場するようなヒーローたちが暴虐な振舞いを繰り返す「アンチ・ヒーロー」物として話題になり、今作でももちろんその路線が踏襲されている(参考:「危機」を利用して自身の権力拡大を迫るヒーローたち。「現代社会」を風刺する『ザ・ボーイズ』)。 前作のラストで、実はヒーローたちは先天的な存在ではなく、コンパウンドVという薬品によって人工的につくりだされたということが明らかになった。そして、社会の脅威でありヒーローの敵たるテロリスト(ヴィラン)も、またコンパウンドVでつくりだされていたのだ。今作では、その事実をめぐる駆け引きと

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  • 映画『シカゴ7裁判』があぶり出す警察の「神話的暴力」。対抗する術はあるのか « ハーバー・ビジネス・オンライン

    アーロン・ソーキン監督『シカゴ7裁判』が10月9日から公開されている。Netflixでは10月17日から配信がスタートした。1968年にシカゴの民主党大会で起きた「暴動」を扇動した容疑で、7人のデモ参加者が起訴された。この映画は、その7人、通称シカゴ・セブンの裁判を題材にとっている。デモや「暴動」を映した当時の生々しい映像が時々挿入されることもある。 この裁判は明白な政治裁判であり、7人のデモ参加者を見せしめに有罪とすることで、市民の直接行動を恫喝するためのものであったことが、物語の冒頭で明らかにされる。裁判は、検察のストーリーに沿って進められる。被告に同情的な陪審員は差し替えられてしまう。被告に有利な証拠は採用されず、証人は妨害される。被告側にフラストレーションが溜まるのは当然であり、法廷で抗議するたびに、法廷侮辱罪とされてしまう。 史実でも、第一審で5人に出された有罪判決は裁判官の偏見

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  • 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の世界が持ち続ける「平和への志向性」 « ハーバー・ビジネス・オンライン

    映像の美しさ、ストーリーの切なさで男女問わず人気の作品で、劇場もさまざまな人が観にきていた。写真は、ある劇場入り口に掲示されたポスター 2018年の1月から4月にかけて放送されたテレビアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の続編であるアニメ映画 『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が、9月18日から公開されている。 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、暁佳奈の同名小説を原作とし、20世紀前半程度の文明レベルを持つ地球とよく似た異世界で、「自動手記人形(ドール)」と呼ばれる一風変わった手紙の代筆業に従事する少女を主人公とした物語だ。 現実世界のタイピストが女性の職業として現れたように、ドールもまた女性が就く職業とされている。しかしドールは単なる口述筆記のための文字打ち業ではない。ときには依頼人と相談しながら文案を考え、ときには文をつくる能力がない依頼人のために、いくつかのキーワ

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  • 日本学術会議に対する菅政権の干渉と無批判に礼賛する大衆民主主義が生み出すファシズム。立憲民主主義の破壊を許してはいけない « ハーバー・ビジネス・オンライン

    10月1日、日学術会議が推薦した新会員候補105人のうちの6人を、菅義偉内閣が任命しなかったことがわかった。このニュースは赤旗が取り上げたのをきっかけに、各報道機関でも報じられ、批判を呼んでいる。 任命されなかった6人は、歴史学者の加藤陽子、政治学者の宇野重規をはじめ、いずれも人文・社会科学が専門の学者であった。安倍前内閣の安保法制や共謀罪に反対した経歴を持つ学者ばかりで、政権の政治的干渉ではないかと疑われている。アカデミズムを軍事研究に大々的に活用したい現政権に対して目の上のたんこぶとなる同機関に対する締め付けである可能性も指摘されている。 日学術会議は科学者の連携や国際交流を担う機関で、内閣府に属するが、独立の立場で政策提言を行う。構成員については、日学術会議法で定められており、日学術会議の推薦に基づいて、総理大臣が任命することになっている。 この総理大臣の任命権について、推薦

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  • 竹中平蔵の「ベーシックインカム」はなにが問題なのか。議論のテーブルに付くことの危険性 « ハーバー・ビジネス・オンライン

    9月23日、経済学者でパソナグループ取締役会長の竹中平蔵が、民放の番組でベーシックインカムについての持論を展開した。彼は菅義偉新首相が真っ先に会談した人物の一人であり、また安倍内閣のときから政府の諮問会議に呼ばれ、国家戦略特区など様々な政策に関与してきた自民党政権のブレーンとして認められる人物である。従ってベーシックインカムについての彼の持論は、単なる私的な考えではなく、政府の政策に影響を与えうるものとして捉えられ、波紋を広げている。 竹中が主張するベーシックインカム制度とは次のようなものである。人々は月々7万円の最低所得補償を無条件に受給できる。一方で、国民年金や生活保護制度は廃止される。また高額所得者は、後でその所得を何らかのかたちで返さねばならない。 年収の中央値が20年前に比べて大きく減少している日において、月々7万円の最低所得補償は大きな可処分所得の上昇になるかもしれない。一方

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  • 無能な独裁者・安倍晋三による「法の停止」と「遅延する力」 « ハーバー・ビジネス・オンライン

    安倍晋三首相は8月28日、「体調不良」を理由に総理大臣職を退くことを発表した。これによって、2012年末から続く第二次安倍政権が終了することになった。 辞任が発表されて以後、この長期政権の「レガシー」はいったい何だったのかということが議論されている。経済、外交、憲法、また様々な不祥事やスキャンダル。経済では大胆な金融緩和を行うアベノミクスと呼ばれる政策パッケージを行い、経済成長の実現に取り組んだが、7年半の実質GDP成長率は他のOECD諸国と比べて低調であり、2019年には消費税増税を待たずして景気は後退に転じた。 外交ではアメリカロシア、インドなどとの蜜月関係をアピールし、また中国とも良好な関係を保とうとした。一方で韓国とは2015年に「慰安婦合意」を行ったが、むしろ歴史認識問題を悪化させた。DPRK(編集部注:いわゆる「北朝鮮」を指す)の「飛翔体」問題については、平和的解決をこじれさ

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  • 対立理念示した新立憲。「自己責任から支え合いへ」が意味すること « ハーバー・ビジネス・オンライン

    2020年9月15日、立憲民主党と国民民主党および野党系無所属議員が結集した新党、新・立憲民主党が誕生した。党代表は10日の国会議員投票で、枝野幸男旧・立憲民主党代表に決まった。 原発ゼロの綱領に反発した連合系の産別議員らは玉木国民民主党代表を中心に新・国民民主党を結成するなど、完全な合流とはいかなかったが、ともあれ民進党崩壊以後に分裂した諸勢力はほぼひとつに結集し、2012年の政権交代以来、久々に衆議院で100人を越える野党勢力が誕生した。 新・立憲民主党が誕生した意義は何か。ひとつには、分裂していた小勢力がまとまることで、与党と小選挙区を戦いやすくなったということだ。単純小選挙区制においては、一つの選挙区で複数の政党が政策を競い合うというのは現実的ではない。 もう一つの意義は、ジャーナリストの尾中香尚里氏が指摘するように、立憲民主党が与党自民党の理念における「対立軸」となったことである

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  • 安倍辞任でかき消された「山口県庁安倍首相在職日数横断幕掲揚」問題。ウヤムヤにしてはいけないワケ « ハーバー・ビジネス・オンライン

    2020年8月28日、安倍晋三首相が辞任した。 その契機になったのかは定かではないが、辞任を発表する5日前の24日、連続在職日数が2799日に達し、佐藤栄作を抜いて歴代最長となっていた。第一次政権を含めた在職日数では、すでに2019年11月20日、桂太郎を抜いて歴代最長となっている。 これにともない、首相の地元である山口県では、県庁に記念の看板や横断幕が掲げられた。県の担当者は「県民の代表として一生懸命尽力している安倍総理が最長を達成した。県庁の総意だけでなく、県民のみなさまと喜びを表現したいと考えた。上位2人が山口県出身で非常に誇らしい」と説明しているという。(参照:朝日新聞) 山口県では、2019年11月にも、やはり横断幕を出して歴代在職日数最長を祝っている。 まず基的なことなのだが、国会議員は憲法上「全国民」の代表であり、首相は「全国民」の代表機関たる国会によって指名された行政府の

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  • コロナ禍の8月15日、靖国神社を訪れる「普通」の人々の慰霊感情と忍び寄る「臣民化」 « ハーバー・ビジネス・オンライン

    8月15日、コロナ禍における靖国神社の状況を観察しに行った。東京で感染者が増加していることもあり、人数は少なくなるかもしれないと思っていたが、予想に反して、ここ数年では最も多い参拝客が訪れていた。 今年は戦後75年―4分の3世紀―の節目であり、コロナによってお盆に帰省する人も少ない。また、コミックマーケットなどの各種イベントも中止されている。そういうこともあって、確かに人数が増える要因はある。しかし、それでも感染を恐れ、自粛する人が多いのではと考えていたのだ。 参拝列は最長で大村益次郎像のあたりまで伸びており、2時間待ちだったという。境内に入るとソーシャル・ディスタンスのためのテープが貼られているのだが、境内の外側はほぼ無秩序であり、例年通りの待機列と変わらない「密」な状況がつくられていた。しかし参拝客はほとんど気にしていないようだった。 もちろん参拝客のほとんどは、マスクを着用している。

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  • 差別は無効化され、ファシズムは飼いならせない。米ドラマ「プロット・アゲンスト・アメリカ」をいま観るべき理由 « ハーバー・ビジネス・オンライン

    AmazonプライムのスターチャンネルEXで配信されている、『プロット・アゲンスト・アメリカ』は、フィリップ・ロスの歴史改変小説を原作とする全6話のドラマシリーズだ。 1940年のアメリカ大統領選で、共和党は正史のウェンデル・L・ウィルキーではなく、大西洋単独無着陸飛行で知られる飛行士チャールズ・リンドバーグを候補者とする。リンドバーグは親ナチスで、大戦への介入に消極的だったが、その彼が現役大統領のルーズベルトを破って当選してしまう。リンドバーグ政権の誕生によって、アメリカに住むユダヤ人たちの運命は翻弄されていく――。 とくに注意せずドラマを観ていてもわかることなのだが、この物語は、単なる歴史のifを描いたものではなく、現在のアメリカ政治状況を鏡のように映し出している。 原作小説は2004年、ブッシュ政権の時代に執筆された。しかしドラマ版では、これが2020年、トランプ政権下でのドラマで

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  • エリート医師が染まった「命の選別」イデオロギー。その背景にある、我々が超克すべき思想 « ハーバー・ビジネス・オンライン

    7月23日、京都市のALS患者に対して薬物を投与して殺した疑いで、二人の医師が逮捕された。そのうちの一人O容疑者は、SNSの匿名アカウントで「高齢者は見るからにゾンビ」「ドクターキリコになりたい」などと投稿し、寝たきり高齢者の殺害を肯定する「命の選別」を主張していた。 またO容疑者は、厚生労働省の元医系技官で、もう一人のY容疑者とともに『扱いに困った高齢者を「枯らす」技術』という電子書籍を発行していたこともわかっている。被害者とは直接の面識はなく、ネット上で知り合ったという。 2016年、神奈川県の障害者施設で入所者19人が殺害され、26人が重軽傷を負った「相模原障害者殺傷事件」が起こった。犯人の動機には、重度障害者の安楽死を肯定するような「命の選別」思想がみられた。 このような凄惨な事件が起こった場合、多くの国では、首相なり大統領なりが即座にこうした差別思想を否定するコメントを出すところ

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