自民・公明の政権与党が圧勝し、野党側は民進党の分裂で混迷を深めた衆院選は、いわゆる「リベラル」の足元を大きく揺るがす日々でもあった。長野県松本市を歩くと、野党候補の選挙運動を支えた人たちから「後に『あの選挙がターニングポイントだった』と言われる」「今回は正念場」などの声が次々に飛び出した。「護憲」「平和」「民主主義」といった戦後日本の価値観を信じ、支えてきた人たちは、この選挙でどう動き、何を感じたのか。伝統的にリベラルが強いとされる北アルプスの麓から報告する。(宮本由貴子/Yahoo!ニュース 特集編集部) 社民党松本総支部の入るビルは、松本城から北西へ徒歩数分の場所に立つ。衆院選の公示が1週間後に迫った10月3日の午後4時。松本城がよく見える3階の部屋では、同党長野県連の幹部5人が下条みつ氏(61)の到着を待っていた。5人はいずれも年配の男性。口の字形に並べた机の一方に並んで座っている。