■ヒルデガルトの宝石療法 「宝石療法(ストーン・ヒーリング)」と呼ばれるものがある。昔から宝石には神秘的な力があり、身につければ災厄を防いだり、幸福を招くと伝えられてきた。誕生石をお守りにするのはその名残りであるし、現在でも、ラピスラズリ(青金石)や水晶といった天然石が、おまじないグッズとして売られていたりする。 こうしたバビロニア起源といわれるヨーロッパの占星術とは無関係に、天然石が病気の治療に役立つことを発見したのは12世紀ドイツの女性神秘家ヒルデガルトである。 幼少時のころから特異な直観力をもっていたヒルデガルトは、植物や金属、鉱物といった自然の被造物に潜む不思議なはたらきを知っていたようで、その主著『自然学(フィジカ)』には、ハーブ療法や宝石治療のことが詳細に語られており、実際、天然石による病気治療も行っていたようである。正式な学問を修めていたわけでもなく、学会と無縁な修道女であ