この年末年始は、大谷能生氏の『貧しい音楽』(月曜社)と北里義之氏の『サウンド・アナトミア』(青土社)を続けて読破した。どちらも読み応えのある本なので、じっくり時間をかけて読み、昨日ようやく北里氏の本を読み終えた。いや、これは本当に感動した。高柳昌行の音楽、その生前の活動にみるアメリカのジャズ史から脱出して個を形成しようとする闘いや、フリージャズから音響的ノイズへの移行、そしてSachiko Mや中村としまるの演奏の特性などについて、これほど深淵に洞察された書物が出版されたことを、心から嬉しく思う。特に、日本ではポピュラーな「ミクシィ」という場へのアクセスのない私にとっては、これらの文章が活字化されて出版されたことが、とてもありがたい。 欧米では、Sachiko Mや中村としまるら、日本の即興演奏家が高く評価されているとはいえ、各々の評論は今ひとつ深みを欠いていると言うか、音楽や演奏家の核の