ふたりの詩人は、かつて互いに異なる世界に住んでいた。オシップ・マンデリシュターム(1891–1938)はユダヤ人商人の息子であり、マリーナ・ツヴェターエワ(1892-1941)は、モスクワ大学名誉教授にしてプーシキン美術館創設者という人物の令嬢であった。 ロマンスは半年しか続かなかった。1916年2月に始まり、6月には幕を閉じた。当初ふたりを包んだ歓喜は、間もなく寒気に取って代わられた。ツヴェターエワは惚れっぽい人間だった。マンデリシュタームへの関心は急激に萎んでいった。女流詩人は次の結論を下した。なるほどオシップは、いい人だ。しかし「ひどくひ弱で、利己主義的」。いつか彼が「自己の名のもとにではなく、相手の名のもとに」愛することを知る日が来ればいいが・・・。 二人の短い、嵐のようなロマンスは、双方の手になる切ない詩篇のいくつかを、文学史に遺した。 アンナ・アフマートワ &ニコライ・グミリョ