<日曜カルチャー> 2016年も残すところ1週間。九州・沖縄・山口の文学、美術、文化財を巡る動きについて、担当記者が振り返った。 ◆文学 新興文芸誌が気を吐く 福岡市の出版社・書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)が今春創刊した文芸誌『たべるのがおそい』は目次の執筆者の名前の大きさを同じにするなど、文芸界の慣習に染まらない編集方針が新鮮だった。創刊号に掲載された今村夏子の短編小説「あひる」が第155回芥川賞にノミネートされ、単行本『あひる』が今秋、同社から刊行された。 一方、熊本市の橙(だいだい)書店を拠点にした文芸誌『アルテリ』が刊行された。創刊号、2号とも熊本市在住の石牟礼道子、渡辺京二らが名を連ね、地方発の文学発信の試みが注目を集めた。昨年は熊本市の出版社・伽鹿舎(かじかしゃ)が文芸誌『片隅』を創刊しており、今後もこの動きは続きそうだ。