本コラムでは、人材マネジメント・労働雇用政策を研究テーマとするシンクタンク、リクルートワークス研究所所長の大久保幸夫氏に、転換期を迎え、企業において今後の施策が緊急視されている人材マネジメントに関し、さまざまな角度から語ってもらう。 1980年代に「プロ導入」が次々失敗した背景とは プロフェッショナル育成を標榜する会社は数多くありますが、なかなか思うようには成功しません。しかし、成果を上げている企業には共通した要素があることが分かります。いわば、プロフェッショナル人材育成の勘所、です。今回はこの勘所について考えてみます。 始めに強調しておきたいことは、「絶対にプロを安っぽくしない」ということです。実際には多くの企業が、ここで失敗してしまいます。 もともとプロフェッショナル的な人事処遇が始まったのは、1980年代に広まった「専門職制度」がきっかけです。しかし、専門職制度は、アメリカのデュアル