十三のシアターセブンで、古居みずえ監督の『飯舘村 べこやの母ちゃんーそれぞれの選択』を見た。また、上映終了後に監督の舞台挨拶があり、こちらもとても良かった。 映画は、飯舘村に暮らしてきた三人の「母ちゃんたち」の原発事故以後の姿に寄り添って撮られたもの。古居さんと被写体になった人たちとの距離感がよく伝わってくる、すぐれた内容だった。 挨拶でも言っておられたが、古居さんが飯舘村の人たちの置かれた状況に、パレスチナの人たちの境遇を重ねていることは、映画の冒頭のシーンからはっきり伝わってくる気がした。花々が咲き乱れる飯舘の谷間の春の景色と、その土地が敗戦直後、満蒙開拓から帰国した人々によって切り拓かれた農地だったという歴史の解説。原発事故の被害と、その後の国の切り捨て的な政策は、またしてもこの土地の人たちを襲ったのである。 古居さんの映画の特徴は、日常に持続するものとしての「時間」を丁寧に撮ってい