2013年7月に東京証券取引所は、MBO等にかかる株式価値算定書の開示を強化するよう上場規定の運用を見直した。これによって企業価値評価過程はどこまで検証可能になったのか。開示された情報から独自に計算してみた。 筆者は、2011年11月29日付けの本ウェブサイトの記事(エディターズ・チョイス「緊急提言・オリンパス事件からの教訓:M&A取引価格の根拠を開示する仕組みを確立せよ」)において、企業の合併・買収(M&A)取引において、第三者によって作成されている株式価値算定書の開示について、4つの提言を行った。記事執筆の契機となったのは、オリンパスがM&A取引を装って損失隠しを行った取引において作成された株式価値算定書であったが、通常のM&A取引においても、株式価値算定書が頻繁に当事者によって取得されているにもかかわらず、その内容の開示が不十分であることを指摘し、開示の充実を求めるものだった。 本稿