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ブックマーク / webgenron.com (15)

  • 【 #ゲンロン友の声|030 】どうすれば読みやすい文章になりますか

    編集プロダクションに勤めている35歳です。いつも東さんのを愛読しており「観光客の哲学」は人にプレゼントする分まで買ってしまいました。東さんの文章は私の理想です。 先日、東さんがご自身の文章(訂正可能性の哲学)に赤字を入れる様子をツイッターで拝見し感動したので投稿させていただきます。 東さんは、削除しなくても意味が通じるところを「トルツメ」したり、言い回しをほんの少しだけ変えたりと、かなり細かく校正なさっていますね。東さんのやゲンロンさんのの圧倒的な読みやすさは、その心くばりゆえなんだろうなとも思いました。 そこで質問です。東さんは校正の際、どのような態度で、どういったルールのもとで赤字を入れていますか。また、どうすれば自身が書いた文章を客観的に読み、校正することができるのでしょう。教えていただけるとうれしいです。 今後の出版計画を見ると今後も校正作業がかなり続きそうですね…どうかどう

    【 #ゲンロン友の声|030 】どうすれば読みやすい文章になりますか
    kaikaji
    kaikaji 2023/10/16
    "人間は意識的に言葉の意味をとりながら文章を読むだけでなく、無意識に視覚的に「イメージとして」誌面を眺めてもいて、そこのところをどうコントロールするかが「読みやすさ」をつくるうえでは決定的に大事である"
  • 料理と宇宙技芸(6) 肉は切らねど骨は断て──排骨湯と「庖丁解牛」の自然哲学|伊勢康平

    今回取りあげるのは排骨湯パイグータン、つまり骨つき肉のスープである。現代の中華料理では、豚肉のスペアリブをぶつ切りにして煮込んだものが一般的だが、牛や羊、鶏をつかう場合もある。初回の麻婆豆腐や前回の賽螃蟹サイパンシエ(野菜で蟹を「錬成」したもの)など、ここまであつかってきた料理は比較的歴史の浅いものが多かったが、排骨湯はたいへん古い料理だ。おそらく今後の連載のなかでも、これ以上に歴史ある料理は登場しないと思う。 10年ほどまえ、中国で衝撃的な発見があった。なんと約2400年前のスープが液体のまま出土したのである。場所は陝西省の西安咸陽国際空港。その第二次拡張工事のさいに、状態のよい青銅器がふたつ見つかった。そのひとつである鼎かなえ(煮込みにつかう三足の容器)には、骨の浮かんだスープが半分ほど入っていたという。もちろんかなり劣化しており、銅の腐によって緑に変色していたが、調査の結果、中身

    料理と宇宙技芸(6) 肉は切らねど骨は断て──排骨湯と「庖丁解牛」の自然哲学|伊勢康平
    kaikaji
    kaikaji 2023/04/11
    "「庖丁解牛」とは、料理があたりまえのように屠殺と解体から始まる時代に、その原初的なプロセスにおける技術と自然、そして人間の生の関係を見つめなおし、儒家的な料理の儀礼に対抗するために記されたもの"
  • 戦いの虚しさと恐怖を語り継ぐ──現在のウクライナ戦争下の世界情勢の中で観るべき東欧映画11本|Knights of Odessa

    戦いの虚しさと恐怖を語り継ぐ──現在のウクライナ戦争下の世界情勢の中で観るべき東欧映画11|Knights of Odessa 私、Knights of Odessa は、「死ぬまでに観たい映画1001」を通して知ったフランチシェク・ヴラーチル監督によるチェコ映画『マルケータ・ラザロヴァー』(1967年)の力強さと、フサーリク・ゾルタン監督によるハンガリー映画『Szindbád』(1971年)の摩訶不思議さに惹かれて以降、東欧映画を400ほど鑑賞してきた。今回は「現在のウクライナ戦争下の世界情勢の中で観るべき東欧映画」として、関連する11の作品を紹介したい。 題に入る前に、2点ほど明確にしておくべきことがある。1点目は、今回の記事のテーマが「現在のウクライナ戦争の状況を知るために観るべき映画」ではないことだ。ウクライナでは、特に2014年のクリミア併合以降の期間に、ロシアとの問題

    kaikaji
    kaikaji 2023/03/09
  • 祖国か、神か──戦争がウクライナの正教徒に強いる選択(1)|高橋沙奈美

    ウクライナの主要な宗教は東方正教である。ウクライナロシアは、ともに自らの始原であるとみなすキーウ・ルーシが10世紀に東方正教を受け入れて以来、信仰を共有している。それゆえに、両国の正教会の間になにやら複雑な問題が生じているということは、しばしば日のメディアでも報道されてきた。その「なにやら複雑な問題」が今、戦時という非常事態の中で一刀両断に、極めて明瞭な形で解決されようとしている。ウクライナにはウクライナ独自の正教会があればいい、ロシアと関係のある教会などすべてこの国から消えてなくなってしまえばいいというのだ。そうすれば話は簡単になる。 そもそもの始まりから問題は複雑すぎるのだ。東方正教はキリスト教の一宗派として普遍性を志向するが、教会組織の点では近代ナショナリズムと合致する独立教会制を基とする。すなわち、東方正教の世界は教義を共有しながらも、世俗国家の領域に準じるように分けられたい

    祖国か、神か──戦争がウクライナの正教徒に強いる選択(1)|高橋沙奈美
    kaikaji
    kaikaji 2023/02/25
    "今、ウクライナはロシア的なものを自国から排除しようとしている" "しかし、ウクライナ正教会とその数10万人に上る信者・聖職者が、祖国か神かどちらかを選べと突きつけられて、究極の岐路に立たされている"
  • 満洲で愚かさを記す|小川哲

    先日、第168回直木三十五賞に小川哲さんの『地図と拳』が選出されました。書は満洲を舞台に、日露戦争前夜から第二次世界大戦までの半世紀を、史実とフィクションを織り交ぜて描いた長編小説です。作の受賞を記念し、『ゲンロン11』に掲載された小川さんのエッセイを無料公開いたします。 稿執筆時、小川さんは『小説すばる』(集英社)にて「地図と拳」を連載しており、2018年には取材のために満洲を訪れていました。その訪問の翌年、『ゲンロン10』に掲載された東浩紀の満州にまつわる論考「悪の愚かさについて、あるいは収容所と団地の問題」を読んだ小川さんは、東が論じた「悪」の問題を通じて、小説家として自身が書くべき物語のあり方に思い至ります。『地図と拳』とあわせて、どうぞご覧ください。(ゲンロン編集部) 1 2017年の11月、僕は、『ゲームの王国』というカンボジアを舞台にした長編を書き終えて、短編の依頼など

    kaikaji
    kaikaji 2023/02/01
  • 外面を飾ることこそが感情を豊かにする──中島隆博×東浩紀「中国において正しさとはなにか」イベントレポート

    「感情の政治」という言葉がある。SNSを開けば、だれかが怒りや憎悪をむき出しにして、自分が「悪だ」とみなしたものを口汚く罵るさまをいくらでも目にすることができる。そこでは、異なる者どうしの「対話」の余地は失われてしまっている。われわれは、どうすればいま陥っている分断から抜け出すことができるのか。そのヒントが詰まった対談だった。 2022年5月13日、哲学者・中島隆博の『中国哲学史』の刊行を記念して、中島と東浩紀との対談が行われた。両者の対談は2018年以来4年ぶり2回目。ともに「悪」の問題に関心をよせ、互いの論考に刺激を受け続けているふたりの哲学者が大いに語りあった。対談の途中、中島は、東からのさまざまな問いかけが「自分という鐘をうまく叩いてくれ、自分でも聞いたことのない音が出ている気がする」と語った。ゲンロンカフェならではの醍醐味にあふれたイベントの模様を、以下でレポートする。(ゲンロン

    外面を飾ることこそが感情を豊かにする──中島隆博×東浩紀「中国において正しさとはなにか」イベントレポート
    kaikaji
    kaikaji 2022/09/24
    "感情にもとづいて声をあげるひとが他者の感情の政治に対しては冷淡なことも多く社会は人々の感情が豊かになる方向には進んでいない。「感情の政治に取り込まれない仕方で感情に向かいあう」ためにいまこそ礼が必要 "
  • フェイク VS. フィクション──『ドンバス』が描く寓話|本田晃子

    2月にロシア軍によるウクライナ侵攻が開始されてから、日でもロシア側によって作成されたと思しきフェイク・ニュース動画が話題になった。同じ人物が全く違うシチュエーションの動画に複数回登場したり、背後に映りこんでいる風景が明らかにウクライナでなかったりなど、その雑な造りがしばしば間違い探し大会を引き起こしたことは記憶に新しい。セルゲイ・ロズニッツア監督の『ドンバス』(2018年)は、フィクションの親玉である映画の側から、そのような雑なフェイクの種明かしをしつつ、気のフィクションがどれほどリアルに迫れるのかを突きつけてくる。 冒頭の場面はいきなりフェイク・ニュースの撮影風景から始まる。役者たちはトレーラー内で支度し、ディレクターの指示でウクライナのテロリストに怯える市民の役を演じ始める。そしてこれ以降のすべてのエピソードは、これらの人びとによって制作されたフェイク・ニュースという体裁をとる。な

    kaikaji
    kaikaji 2022/07/28
    "しかしスターリンの独裁体制下で、さらなる転倒が生じる。虚構が現実を模倣するのではなく、現実が虚構に倣うようになるのだ。1930年代に開催された「見世物裁判(show trial)」はその最たる例といえよう"
  • 【書評】潜入ルポのベテラン・ジャーナリストの変化球はどストライクの王道ノンフィクションだった──横田増生『「トランプ信者」潜入一年』評|西田亮介

    自由民主主義社会にとって、報道、ジャーナリズム、ノンフィクションは欠かすことができない存在である。自由民主主義社会はいつの時代も、多様で、多元的な自画像と言論を必要としているからだ。だが、その維持と確保は現実問題として多くの苦難とコストを必要とする。SNSは国境を越えた人々の自由な表現を後押しするはずのものだが、近年では「自由」に基づくメディアへの介入を通じて、むしろ自由そのものの土台を毀損する動きも活発だ。 ロシアウクライナ侵攻をきっかけに、SNS上での偽情報や偽「ファクトチェック」、一方的な虚偽言説の大量流通とサイバー攻撃などを軍事侵攻と組み合わせる「ハイブリッド・ウォー」への関心も世界中でにわかに高まった。ウクライナに関する情報についても慎重な読み解きと検証が必要であるとみなすなら、多様で多元的な言説の必要性と難しさも改めて想起される。ロシアウクライナ侵攻は目に付きやすいが、身の

    【書評】潜入ルポのベテラン・ジャーナリストの変化球はどストライクの王道ノンフィクションだった──横田増生『「トランプ信者」潜入一年』評|西田亮介
    kaikaji
    kaikaji 2022/05/07
    "本書は、横田が歩んできたジャーナリズム業界の重要性とその変化を、自由民主主義の危機の具体像という対象選択と取材の仕方をとおして、アイロニカルに提示している"
  • 【書評】トラウマとイデオロギー──マルレーヌ・ラリュエル『ファシズムとロシア』評|乗松亨平

    書にとっては厳しいタイミングでの出版となった。だがこの厳しいタイミングだからこそ、読まれるべきである。 書の原題は「ロシアはファシストか」である。これは修辞疑問であって、現代ロシア政治体制をファシズムとは呼べないというのが著者の主張だ。欧米(やロシア)では絶対悪に等しい「ファシスト」というラベリングによって思考停止に陥ることを諫め、ロシアを西側と連続した反リベラリズムの潮流のなかで捉えるように説く。 著者はロシアの右派研究の世界的第一人者であり、時代の先端を捉える詳細かつ旺盛なそのリサーチは、評者もつねづね参照してきた。その視野が現代だけでなく過去にも広がっていることは、『ゲンロン7』に訳出された、ユーラシア主義とロシア宇宙主義の交錯の歴史を見渡す論文「運命としての空間」からも明らかであろう。書は著者が積みあげてきたリサーチを凝縮したいわば「ベスト盤」となっており、ロシアの現体制

    【書評】トラウマとイデオロギー──マルレーヌ・ラリュエル『ファシズムとロシア』評|乗松亨平
    kaikaji
    kaikaji 2022/03/25
    "ロシアの現体制を動かしているのはソ連崩壊というトラウマであり、本来あるべき「常態」とみなされるソ連/ヤルタ秩序への回帰が宿願なのだという本書の見立ては、現下の状況に照らして説得力をもっている"
  • ロシア語で旅する世界(特別篇) 理解できない現実に寄せて|上田洋子

    2022年2月24日、ロシアウクライナに侵攻した。 毎日、信じられないニュースが流れてくる。ロシア軍はベラルーシとの国境地帯にあるチェルノブイリ原発を占領した。キエフの住宅に爆弾が落とされ、ハリコフは中心部が焼き尽くされている。ロシア側はハリコフで化学兵器の実験がされていたと主張する。それどころか、チェルノブイリでは核兵器の実験が行われていたとも。 いまのチェルノブイリがいかに平和で、管理のされている場所であるか、なんどもかよったわたしはよく知っている。そもそも、チェルノブイリは大量の観光客を受け入れている。核実験などできる場所ではない。2018年の6月に訪れたとき、チェルノブイリの立入制限区域は次から次へとやってくる旅行会社の派手なロゴのついたバンに埋め尽くされていた。いまは、そのチェルノブイリにキエフから向かう一道に、ロシア軍の戦車が長い長い列をなしている。 ヘルソンは占領下になっ

    ロシア語で旅する世界(特別篇) 理解できない現実に寄せて|上田洋子
    kaikaji
    kaikaji 2022/03/24
    ”どこかで必ず重ならざるを得ない複数の現実が「ウクライナ」「ロシア」という大きな概念でざっくり括られ、切り分けられている。そもそもあるひとにとっての現実は、別のひとにとっての現実とは異なるものである”
  • 【 #ゲンロン友の声|023 】ヨーロッパに住む家族と分かりあいたいです

    私の姉は音楽家をしており、10年以上ヨーロッパに住んでいます。私の家族はもともと全員仲が良く、頻繁に姉と海外旅行などにも行っていました。コロナ禍になってからも、姉は年に1、2回来日してくれているのですが、最近どうも姉と馬が合いません。彼女はかなり我が道を行くタイプで、頻繁に日人の考え方や、文化を否定してきます。そして、私が日で働いていることを否定するようなニュアンスの事を言うことがあります。私は日音楽やアニメが好きなので、彼女が日、そして私のことを否定する度に、とても悲しい気分になります。芸術家なので、とても感性が敏感なのだ、と思いながらも、度々ショックを受けてしまいます。私は姉と喧嘩をしたくなくて、いつも「そうかもしれないね」というフワッとした回答をするのですが、最近それが辛くてしょうがないです。家族のことが大好きなので、姉に対してこんな感情を持ってしまうこと自体が辛いです。こ

    【 #ゲンロン友の声|023 】ヨーロッパに住む家族と分かりあいたいです
    kaikaji
    kaikaji 2022/03/23
    "むしろたがいの距離を縮めようとしているからこそ、質問者の方を批判する言い方をしているのだと。そして、むしろそれこそが、同じ問題に対する、日本風の対応とヨーロッパ風の対応の違いなのだと"
  • 「声」がつなぐ信仰と身体──『虹霓のかたがわ』解説|星泉

    2022年1月15日、ゲンロンSF文庫の6冊目となる、榛見あきる『虹霓のかたがわ』を発売しました。同書は〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉にて、第4回ゲンロンSF新人賞を受賞した作品に大幅な改稿を加えたもの。拡張現実で覆われた近未来のチベットを舞台に、羅刹女のARをまとって踊る少年僧ペーマを主人公にした異色の作品です。同地の仮面舞踏をSF的想像力によって大胆に翻案し、信仰と技術、身体とアバター、伝統と未来が混ざり合う臨界点を描きます。 電子書籍化にあたり、チベット語・チベット文化研究者の星泉さんに解説を寄せていただきました。「ペーマ」という名前が想起させる英雄譚、チベットで「羅刹女」が占める特別な立ち位置、口承文化における拍の重要性、そしていまチベットをテーマにすることの文化的な意義など、『虹霓のかたがわ』の魅力を多角的にご紹介いただいています。以下にその全文を公開いたします。ぜひ小説とあ

    「声」がつなぐ信仰と身体──『虹霓のかたがわ』解説|星泉
    kaikaji
    kaikaji 2022/01/16
    ”希望を捨てる時ではない。拍や声の力に支えられた伝統はしっかりと根を張っているし、さらにはこの作品の中でプティがやってきたように時代の変化やテクノロジーを取り入れながら人々は新しい未来を生み出そうと”
  • 実現可能な「産業社会ユートピア」を目指したものたち──鹿島茂×東浩紀「無料の誕生と19世紀パリの魅力」イベントレポート

    10月15日にゲンロンカフェにて行われた、白熱の鹿島茂氏登壇イベント。その放送を視聴していたヒガシくんとニシノくんが、後日、都内某所のカフェで感想を語り合う──。 ヒガシくん このまえゲンロンカフェでやってたフランス文学者の鹿島茂と東浩紀の対談イベント、すごかったね。 ニシノくん 『ゲンロン12』の刊行記念イベント第1弾やな。そもそもあのも全体的にすごかったし、鹿島さんの論考「無料はパリから始まった」もめっちゃおもろかった。 ヒガシ 19世紀パリで「新聞王」として活躍したエミール・ド・ジラルダン(1802-1881)の話だね。「まとめサイト」的な発想でつくった新聞で大ヒットを飛ばして、最終的に無料+広告モデルを考えつくにいたる彼の経営戦略は、現代のインターネットを正確に予告していたという内容だった。 ニシノ 今回のイベントは「そこからさらに19世紀フランスを経済・政治・文学・ジャーナリズ

    実現可能な「産業社会ユートピア」を目指したものたち──鹿島茂×東浩紀「無料の誕生と19世紀パリの魅力」イベントレポート
    kaikaji
    kaikaji 2021/12/20
    これは非常に刺激的な対話だった。サン・シモン主義的な産業振興策と強権的な政治手法が結びついたナポレオン3世の統治手法は、現在の中国共産党のやり方とも共通点が多いように思う。
  • 五反田で語る「夜の街」──飯田泰之×谷口功一×速水健朗「夜の公共圏はコロナでどう変わるのか」イベントレポート

    いま「夜の街」という言葉で検索をかけると、ヒットするのはほぼすべてコロナ関連の記事だ。言葉自体は昔からあったにもかかわらず、この語はいまやコロナ禍と切っても切り離せなくなっている。 夜の街というのは、一般にスナック、キャバクラ、ホストクラブ、性風俗店など、接待を伴うサービス業が集まる場所を指す。コロナ禍において、夜の街は感染拡大の「震源地」であるかのように目の敵にされることがしばしばだった。 そんなイメージの一方で、夜の街が人間社会において公共的な役割を担ってきたこともまたたしかだ。 このたびゲンロンカフェでは、『日の夜の公共圏』(白水社)の編著者であり、スナック研究で知られる谷口功一氏、経済学者の飯田泰之氏、ライターの速水健朗氏を迎え、「夜の街」の歴史、そして未来について語るイベントを開催した。その模様の一部をお届けする。(ゲンロン編集部) 人の欲望を制限する欲望 コロナ禍で表出したの

    五反田で語る「夜の街」──飯田泰之×谷口功一×速水健朗「夜の公共圏はコロナでどう変わるのか」イベントレポート
    kaikaji
    kaikaji 2021/10/11
    "さらに根底にあったのは、「戦争を前に酒を飲んでいる場合ではない」という、人の欲望を制限しようとする欲望だった。それゆえ人びとは禁酒法を守らず、むしろアメリカ社会は大混乱に陥った"
  • ひろがりアジア(3) 中国における団地──共産主義から監視社会へ|市川紘司

    ゲーテッドコミュニティの集合体 中国は、新型コロナウィルスの感染者が最初に報告された国であるとともに、その後の感染拡大を巧みに抑え込むことに成功した国でもある。しかし、感染拡大は一体どのように防ぐことができたのだろうか? ひとつには、すでに多くの指摘があるように、近年中国で急速に進んでいるITを駆使したデジタル監視社会化が挙げられるだろう。たとえば、北京を拠点に活躍する建築家・青山周平は、筆者も登壇した2020年11月にゲンロンカフェでおこなわれたトークイベントにおいて、肌身離さず持ち歩くスマートフォンによって行動履歴が蓄積され、アプリによって都市や店舗への出入りの可否が厳しく、かつ効率的にチェックされる状況を紹介している[★1]。 稿では、建築と都市の歴史を専攻する人間の視点から、もうひとつの要因を指摘したい。すなわち、現代の中国の都市空間は、そもそもが人びとの動きを捕捉し、管理しやす

    ひろがりアジア(3) 中国における団地──共産主義から監視社会へ|市川紘司
    kaikaji
    kaikaji 2021/06/27
    "中国団地の空間はゲーテッドコミュニティにきわめて近い" "ただし、アメリカでのそれがセキュリティを求める富裕クラスの居住空間であるのに対して、中国では全国各地の都市に普遍的に見られる"
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