日本をはじめ欧米の自動車メーカー・自動車部品メーカーが、希土類フリーの電気モーター開発に力を入れているのはご存知の通りだ。その表向きの狙いは環境対策であるが、裏には地政学的な問題を避ける狙いが含まれている。本稿では、ドイツの自動車部品メーカーであるマーレが先月発表した、磁石を使わない(希土類フリー)の電気モーターをご紹介しよう。 TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro) すべての写真を 見る マーレは現在、希土類元素を必要としない、新しい種類の磁石を使わない電気モーターを開発している。これにより生産時の環境への負荷を低減できるだけでなく、コストと、リソースのセキュリティ面でもメリットが得られる。新しいモーターの中心的な機能は、誘導性で非接触の動力伝達である。これにより、モーターは摩耗がなく、特に高速で効率的に作動する。効率はほぼすべての動作点(回転域)で95%を超えている