けさの日経新聞の「経済教室」に、深尾光洋氏の「信用不安の元凶はCDS」という記事が出ているが、私も同感だ。投機の規模としてはそう違わなかったITバブルがアメリカの局地的な問題にとどまり、2年ほどで収束したのに対して、今回の住宅バブルがはるかに大規模な危機に発展したのは、以前の記事でも書いたように貸付債権が証券化され、その仲介機能(microstructure)に欠陥があったためだと思う。この点で今回の危機は、日本の90年代とまったく違う。 こういう問題は経済学ではほとんど論じられていないが、おそらく問題の所在をもっとも早くから指摘していたのはハイエクである。彼は「発見過程としての競争」という1968年の論文で、次のようなGarrett Hardinの言葉を引用して、市場のもっとも重要な機能は価格によって誤りを訂正するネガティブ・フィードバックだと論じている:Long before Cla