作り話仙台ではこの前の金曜日から,毎年恒例の「光のページェント」というイベントが開催されていて,仙台市中心部のケヤキ並木は60万個もの電球がともされ,「朝青龍は既に終わった力士」という発言で有名な内舘さんの言葉を借りれば「まるで山火事のような」様相を呈している.誰かの頭もまるで山火事のようだ.ぼくが初めて光のページェントをみたのは多分,小学校1年の頃だったと思う.家族みんなで電車に乗って仙台にやってきて,あまりの人の多さとものすごい寒さにげんなりしながらも,ぼくの両手には父と母の温かい手のぬくもりが感じられたのを思い出す.ぼくにとっての光のページェントは,家族の温もりを思い出すことができる年に一度の大切なイベントなのだ.とくにぼくが母と祖父との間の子だということがわかってからは,温かかった家族のぬくもりはまるで寒空の下の公園のベンチのように冷え切ってしまったのだった. そんな家族をかろうじ