【シンガポール=青木伸行】日本に対する諸外国からの善意と支援が行き場を失っている。混乱の中で、日本側の受け入れ態勢に不備があるのみならず、食品安全基準などが支援の大きな障害になっているようだ。日本に在留する母国民の安否確認と安全確保に追われる傍ら、支援に尽力している各国政府の「恩返しをしたい」という思いを、日本政府は結果的にソデにする格好となっている。 ある国は、毛布を数万枚送ると申し出た。だが、日本政府はサイズ(80センチ×80センチ)を指定し、送られる予定の毛布が、わずか20センチほど「規格」に合わないとわかると、受け入れに強い難色を示した。すったもんだの末に、ようやく「規格外」の毛布が日本に届いた。 日本政府から、救助犬の派遣を真っ先に要請され、それに応じて送り出そうとした矢先に、「待った」をかけられたケースもある。その際の説明は「空港での検疫に1カ月かかる。これを1週間に短縮しても