東日本大震災に続いてタイの大洪水でも起きた操業停止の連鎖。東京電力福島第1原子力発電所の事故で崩れ去った安全神話、そして広がる日本企業の技術力への不信……。 この2011年ほどモノ作り立国としての日本の威信が揺らいだ年はかつてないだろう。こうした事態を契機として日本企業が次に目指すべきものは何か。それは従来のモノ作り立国への回帰ではなく、新たな強みの構築ではなかろうか。 モノ作り偏重から脱却した先に築くべき日本企業の新たな姿とは──。論客へのインタビューを通して模索していく。 初回に登場するのは、一橋大学大学院国際企業戦略研究科の名和高司教授。同教授は、経営コンサルティング大手マッキンゼーで情報通信や自動車などのハイテク企業の戦略立案などに長年携わってきた。グローバル競争に勝ち残る企業のあり方として、モノ作りに立脚しない事業モデルを提言する。 (取材構成は、石川香苗子=フリーライター) ―