イノベーションの“虎の子”である知的財産を活用できなかったり、ましてや盗まれたりしたら、中小・ベンチャー企業の未来はない。どう知財戦略に取り組めばいいのだろうか。池井戸潤さんの小説『下町ロケット』において、中小企業側に立って戦う「神谷修一弁護士」のモデルとなった弁護士、鮫島正洋さんに知財戦略の要点を聞いた。 聞き手:Gemba Lab代表 安井孝之 photo:伊原正浩 ―― 今年度に入り、知財保護を強化するために特許法が改正されたり、公正取引委員会が製造業者間で知財を侵害する行為に対する実態調査の結果を発表したりしました。知財保護が注目されていますが、現状をどう見ていますか。 公取の実態調査では、優越的な地位にある事業者が製造業者から知財を盗み取る事例などが列挙されています。盗み取られるのは中小企業だけでなく大企業の場合もありますが、実態調査で示された事例は、この15年ほどこうした事例に